博士
博士

帰ってきた
ウルトラセブン

助手
助手


助手 博士、博士、ちょっとお伺いしたいことが...

博士 うむ、なんじゃね?

助手 実はワタクシ昨夜、いつものようにベビースターラーメンをほおばりながらセブンのLDを観ておりましたところ、ふと疑問が湧いてまいりました。

博士 なんじゃと、君はいまだにLDなどという時代遅れのメディアを使っておるのかね。いいかげんにDVDに切り替えたまえ。

助手 はぁ、お言葉ですが博士、ワタクシの膨大なLDライブラリを全て置き換えられるほどのDVDソフトが揃うにはまだまだ時間がかかりそうです。だいいち、セブンはまだDVDでは出ておりません。それにワタクシが見るところ、DVDよりもLDの方が画像がきれいで滑らかです。

博士 ふん、いつまでもそんなことを言っておると時代に取り残されるぞ。それにしてもLDは不憫なメディアじゃのう。最初は大いに期待されながら、とうとうビデオほどには普及することなくその寿命を終えようとしておる。やはりソニーが『レーザーマン』を出さなかったのが衰退の原因なのじゃろうて。

助手 そんな大きなものは持ち運べません、博士。それよりですね、セブンには疑問があるんです。

博士 言ってみたまえ。

助手 はい。セブンに登場する宇宙人は、一部の例外を除いて、地球を侵略するためにやって来ましたよね。

博士 そうじゃよ。それがどうかしたのかね?

助手 最終目標が地球侵略なのに、なぜ彼らは毎回ニッポンを最初の攻略目標にするんでしょうか。別に他の国でもかまわないはずなのに、セブンではニッポンばかりがターゲットになるのは不自然です。どうにも解せません。何か理由があるんでしょうか。

博士 ...君はそんなこともわからんのかね。

助手 あ、いえ、一応ワタクシなりに考えて仮説を立ててみました。本日はその仮説の妥当性を博士に検証していただきたいと思いまして。

博士 ふん、ようやく君も自分で考えることを覚えたか。ワシのもとで修行した甲斐があったというもんじゃのう。で、その仮説とやらはどういうもんなのじゃ?

助手 では、ご説明します。ご存知のように、我が合衆国は数十年前にラージノーズグレイと密約を結びました。ですから他の宇宙人が合衆国を侵略しようとするとラージノースグレイが『くぉらあ、このクサレ外道があ、ワシらのシマ荒らす言うんかい』と激怒することが容易に予想されます。ラージノーズグレイは、その凶悪さで有名ですから、他の宇宙人達は彼らとの対決を避けて、まず他の国を橋頭堡にしてから地球全体の征服にとりかかろうと考えているのではないか、と。

博士 ならば、それこそニッポンでなくともよいのではないかね? ミャンマーでもキルギスタンでも北朝鮮でもかまわんとは思わんのか?

助手 いえ、ニッポン以外の国はどこも既に宇宙人と密約を結んでいると思われます。ワタクシが聞き及ぶところでは、ミャンマーはニャントロ星人と、キルギスタンはキルギス星人と、北朝鮮はうずまき星人と、それぞれ手を結んでいるようですし。

博士 ふうむ、ニッポンは全方位外交とやらがお得意じゃからな。特定の宇宙人と結託せず、八方美人に徹しておる可能性は非常に高かろう。なかなか説得力のある仮説じゃわい。しかし残念じゃが、君のその考えは当たっておらぬ。

助手 えっ!? では、ラージノーズグレイは実在しないとおっしゃるんですか。ニャントロ星人も、キルギス星人も、うずまき星人も、みんな空想の産物だと博士は考えておられるんですか。

博士 いや、ラージノーズグレイは確かに実在しておる。今でもエリア88、もとい、エリア51でクリちゃんと定期的に密談をしておるし、アブダクトやキャトルミューティレーションも続行中じゃ。ニャントロ星人も人間社会に深く入り込んで陰謀を巡らしておる。うずまき星人は今のところ火星征服に忙しいようじゃがな。キルギス星人は先遣隊が春日家のガキどもになぶり殺しにされて以来、鳴りを潜めておったが、ソ連崩壊を期に独立国家をでっち上げて活動を再開したという情報がある。

助手 はぁ、ではワタクシの仮説のどこが間違っているのでしょうか。

博士 どこが間違っているという訳ではないのじゃよ。セブンの宇宙人達が必ずニッポンにやって来る理由は別にあるというだけじゃ。

助手 で、では、博士はその理由をご存知なんですね?

博士 当たりマーシャのクラッカワーじゃ。

助手 なんですか、それは。

博士 君はニッポンのキョウイクTVを観ておらんのかね? そんなことじゃから万年助手から脱却できぬのじゃよ。まぁよかろう、君の疑問にずばり答えてやろうではないか。

助手 はい、お願いします、博士。

博士 君は東洋医学の『ツボ』という概念を聞いたことがあるかね。

助手 いえ、ありません。

博士 それはいかんな。不勉強もいいところじゃ。よし、今度ワシがショーグン・スパランドに連れていってやろう。シアツマッサージは気持ちよいぞ。

助手 と、とんでもありません、博士、そんな場所に行くなんて。不道徳です。神の教えに背く行為です。

博士 いったい何を勘違いしておるのかね。君もヘンに耳年増じゃのう。シアツとはな、ツボを刺激して健康を増進したり病気を治したりするマッサージじゃよ。ニンゲンの体にはツボと呼ばれる、神経が集中したポイントがあって、そこを刺激することで体のいろんな部位に働きかけることができると言われておる。ツボは全身に分布しておるが、最も多く集中しておるのが足の裏側じゃ。足の裏のツボを刺激するだけで、ほぼ全身をコントロールできるのじゃから凄いことだとは思わんかね。まさに東洋の神秘じゃ。

助手 ワタクシにはよくわかりません。

博士 まぁ、わからんでもよい。とにかく、足の裏という、ニンゲンの体の全体からみたらごく一部を刺激するだけで全身に作用すると考えたまえ。でじゃな、実はニッポンはいわば『地球の足の裏』なのじゃよ。

助手 で、では...

博士 そうじゃ、ニッポンを征服すれば、それは即ち地球全体を征服したも同然なのじゃよ。セブンに出て来る宇宙人達は、このことを見抜いておったからこそ、ニッポンばかりを襲ったのじゃ。

助手 しかし、博士、ニッポンが地球の足の裏だという根拠がありません。

博士 ふっふっふ、根拠ならあるぞ。ニンゲンの足の裏には、全身の各臓器に直結する神経が集まっておる。言うなれば、足の裏は体の縮図じゃ。そしてニッポン列島の配置・構造も、世界全体をギュッと凝縮したものになっておる。逆に言えば、世界はニッポンを拡大したものじゃ。これを見るがよい。

日本は世界の縮図

助手 こ、これは...

博士 どうじゃ、一目瞭然じゃろう。

助手 は、はい。あまりに似ています。ただ、シコク島とアワジ島は位置がだいぶズレているようではありますけれども。

博士 誤差の範囲内じゃよ、誤差の。それにじゃな、シコク島とアワジ島に関しては、位置関係よりも地形の相似性を重視すべきなのじゃ。

助手 キイハンター、いえ、キイ半島がずいぶん小さいような気もしますが。

博士 大きさも本質ではない。あくまで配置の対応に注目したまえ。あまり細かいことにとらわれていると、全体を見失うぞ。君はもっと大局観を養った方がよいようじゃな。ショーグン・スパランドに行った帰りにゴを教えてやろう。

助手 ...ありがとうございました、博士。

博士 うむ、わからないことがあったら何でもワシに尋ねに来たまえ。


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