日本の歩き方

カラオケ II



 
Karaoke: Star in Your Own Music Video

Karaoke literally means "empty orchestra." In karaoke clubs, groups of (often inebriated) friends and associates take turns singing pop songs to each other. Most clubs feature a raised platform with a standing microphone, above which is a television monitor that displays videos depicting the song's story, with the lyrics at the bottom of the screen.

According to one estimate, a karaoke microphon is warbled into in Japan about 16.5 million times a day. The phenomenon has burgeoned into a $10 billion industry. One video game company is now sending karaoke music into Japanese homes, on demand, through telephone lines. The Asaka Beer Corporation has come up with a hydrogen-laced brew said to help singers reach the high notes.

Quoted from P.86, "Passport Japan", Dean Engel &        Ken Murakami, World Trade Press, USA, 1996.

カラオケ:ビデオに合わせて唄えば貴方もスター

カラオケとは「空っぽのオーケストラ」の略だ。カラオケクラブでは数人のグループが(たいていは酔っ払って)順番にポップソングを歌って聴かせる。普通、一段高いステージがあり、スタンド付きのマイクと、テレビモニターが備えてある。テレビモニターには曲のストーリーを描いた映像が流れ、スクリーン下部には歌詞が表示される。

ある推定によれば、日本では一日に1650万曲がカラオケで歌われるという。カラオケは今や1兆円産業に成長した。あるビデオゲーム会社は電話回線を通じて一般家庭にカラオケを オンデマンドで配信している。アサカビール株式会社は飲むと高音を出しやすくなる水素入りビールを開発した。

(訳:ピンキィ君の夫)

新聞を読んでいた夫が突然立ち上がり、『ひとしきり不思議な踊り(by須藤真澄)』を踊った後、『水素ビールぅ〜!やられたぁ〜!』と謎の言葉を発し、本棚に突進して棚の中をかき回しながらブツブツ言い出す。『ついにネジが外れたか?』と思い様子を窺っていると『水素ビール!水素ビールだよ〜っ!覚えてない? す・い・そ・び・ー・る!』と怒り出す。記憶力の全くない私は忘れていたが、何でもずっと前に見つけた時は、あまり面白くないと思ってお蔵入りにしていたネタらしい。

で、夫が読んでいた新聞の記事はこれ。


朝日新聞 東京本社版夕刊 2000/06/10(土) 第3版 1面から
上で取り上げた本は真面目なビジネスガイドなんですけど、著者さんがこの都市伝説を真に受けて書いてしまったようだ。共同執筆者の一人は日本人(在米だけど京都生まれらしい)なのにチェックできなかったのかねえ。まぁ、日本の流行なんて2、3年で変わっちゃいますから国を離れているとしょうがないんですけどね(この前、テレビで、ニューヨークで開かれた『東京のストリートファッション展覧会』の模様を伝えているのを観たんですが、見物に来ていたガイジンさんが『顔が真っ黒な子を見られると思って楽しみにしてたのに、いないんだね、なぜ?』と残念がっていました)。

この都市伝説、もしかして、ひと昔前に流行った『ダックボイス(袋入りorスプレー缶入りのヘリウムガスを吸って声を変えるアイテム)』を使ってカラオケしていたお調子者の日本人を見て『どうやって声を変えるんだ?』と不思議に思ったガイジンさんに、誰かがウソを教えてそれがここまで変形したのでは? ピーナッツでビールを飲んでるアメリカ人には判らんのかも知れませんが、何かと火の気の多い日本の飲み屋に『水素ビール』なんて、そもそも危険すぎるって気がつかないんでしょうか?

しっかし、上の記事を署名入りで書いた朝日新聞ニューヨーク支局の山中特派員。この人は2ヶ月前の土曜夕刊にも『アメリカのいかしたTシャツ』と呼ぶのがピッタリな記事を書いている。これからは土曜夕刊の山中特派員の署名記事は要チェックかも。

それから記事の一番最後、『「さっぱり心当たりがない」と当惑している』当主さん、とりあえず清酒『朝香』を輸出してみませんか? 『声が変わらない、火も吹けない』とアメリカ人から苦情がきたら、『変だなぁ、日本人はちゃんと声も変わるし火も吹けるんですけどねぇ。あっ、もしかして胸板厚すぎません?』って言い切っちゃうとかするといいかも。

※ もちろん、『アメリカのいかしたTシャツ』というのは、アサヒコムでも紹介された超有名サイト『アジアのいかしたTシャツ』のモジりです。

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