日本の歩き方

食品サンプル


Japan has so many different kinds of restaurants and many have menus written only in Japanese. This could mean that you'd either have to do a lot of pointing at other diner's meals (hoping that they are eating something appealing) or you'd be stuck eating at hotels or tourist restaurants. But fortunately, Japanese invented plastic food. Lots of restaurants have colorful displays in their windows. Just a glance will tell you what type of food the restaurant serves and usually the price. Gesture for the waiter or waitress to come to the display to order your meal.

Several words of warning:

  • Displays of stew-pot type meals such as shabu-shabu and nabe will often show the quantity of food served to two people, but the price listed is per person.
  • Avoid eating in restaurants where the plastic food is dirty and faded. If the restaurant doesn't care how it looks to the public, chances are the kitchen doesn't care either.

Making plastic food is an art perfected in the postwar era. At first the models were made of wax, but they melted in the hot sun. Now made of molded plastic, they are remarkably realistic representations. You can buy some to take home, but they are not cheap. Pieces of sushi cost about \500 each; a bowl of noodles is \4000; and a complicated food display can run in the tens of thousands. Several shops in the Kappabashi district in Tokyo sell them. We have a friend who puts a sunny-side-up egg on her living room carpet to see guest's reactions. Actually, not all the food on displays is plastic. A friend, telling his visiting girl friend about plastic food, touched the daily special on display outside a restaurant to illustrate his point. Turns out it was real food. What a surprise! And he was trying to impress his girl friend with his knowledge of the local culture.

Quoted from P.173, "JAPAN GUIDE", Patrice Fusillo & Noriko Araki, Open Road Publishing, USA, 1998.

日本には世界中の様々な料理を出すレストランが揃っているが、 日本語のメニューしか用意していないところが多い。 こう書くと、あなたは心配になるかもしれない。 他の人が食べているものを、それが美味しいもので ありますようにと祈りつつ指差して「あれと同じものを」と何度も言うはめになるんじゃないのかとか、 毎回毎回ホテルのレストランでしか食事を摂れなくてげんなりするんじゃないか、などと。 しかしそういう心配は要らない。 日本には食品サンプルというものがあるからだ。 たいていのレストランには、ショーケースにカラフルな食品サンプルが展示してあって、 どういう食べ物があるのか、そして値段がいくらなのかが 一目でわかるようになっている。 だからウェイター/ウェイトレスを呼んで、 自分が食べたいものを指差して注文すればよい。

ここで注意をいくつか。

  • シャブシャブや鍋ものは、サンプルは二人前分なのに 値段は一人前で表示してあることが多いので気をつけること。
  • サンプルが汚れていたり色褪せている店は避けること。 外から見える部分に気を使わない店の厨房が奇麗であるはずがない。

食品サンプルの製造技術は戦後まもなく完成された。 最初は蝋で作られていたが、直射日光で溶けてしまうので 今ではプラスチックが使われており、これは驚くほど本物そっくりだ。 東京の合羽橋界隈には、この食品サンプルを売っている店が数軒あり、 買ってお土産にすることができる。 我々の友達の一人は、目玉焼きのサンプルを自宅のリビングの カーペットの上に置いて訪問者の反応を楽しんでいる。 ただし、値段は安くない。 寿司が一個500円ぐらい、ラーメンなら4000円、 もっと複雑なものだと何万円もする。

ただ実際には、食品サンプルが必ずプラスチック製だとは限らない。 日本在住のある友人は、彼を訪ねてやって来たガールフレンドに、 自分がいかに日本の文化に対して造詣が深いかを披露しようとして、 食品サンプルについての講釈を垂れながら、 レストランの入り口に飾ってあった「日替わりスペシャル」の サンプルを指でつっ突いたところ、本物だったので仰天したそうだ。

(訳:ピンキィ君の夫)

そういえば京都に旅行した時、ショーケースの前にウェイトレスさんを連れて行って『これこれ』っていう感じで指差しているガイジンさんを見たことがあります。 日替わりスペシャルのサンプル(本物)をつまみぐいしている子供(日本人)を見たこともあるなぁ。 『拾い食いはしちゃいけない』という教育は正しいと思ったもんです。 直射日光に晒されて傷んでいる可能性は大きいぞ。

アメリカのレストランのメニューには、たいてい料理名の下に長々と材料と調理法が書いてあります。 『新鮮な○○のスライスと△△を□□ソースでなんたらかんたら』というふうに。 で、それを解読して『多分こんな料理だろう』と注文して、料理が出て来るまでドキドキしながら待つんですが、 よく想像とかけ離れたものが出てきては喜んだりがっかりしたりします。 殿方は材料名で失敗することが多いのではないでしょうか? 私の夫などは、初めてのアメリカ出張の折り、ぶらっと入ったニューヨークのレストランで 『今日は sole のソテーがお薦めだよ』とウェイターに言われて、『sole って何だ。 なぜ靴底がレストランにある?』と考え込んだあげく、他のものを注文してしまい、 おいしい『ひらめ料理』を食べそこないました。 その他、中華料理店で『スパイシーな料理が食べたいな』と思って、 『こしょう』が材料に含まれている料理を選んだつもりが、 大大大嫌いな『ピーマン』が大量に入った料理を出されてがっかりしたとかも。 夫いわく、魚や野菜の名前(を英語で何というか)は学校で習わなかったし、 仕事にも全然必要ないから、アメリカに行くまで自分がその方面のボキャブラリーが 極端に貧しいことに気付かなかったそうです。

ファーストフードのお店はメニューに写真がついていたり、 実物が目の前に並んでいたりするのでこういうトラブルは少ない (もの凄く甘かったり味がなかったりすることはあっても)のですが、 ときどき騙されたり勘違いしたりすることもあります。 マクドナルドで『ダブルチーズバーガーセット』を頼んだら、 普通のチーズバーガーが二つのセットが出てきたり(注文しそこなったわけじゃなくて、本当にそういう構成になっている)、初めて入ったアービーズで 『カーリーフライ』という、名前の通り丸くカールしたフライをオニオンだと思って注文したらジャガイモのフライだったり。ケンタッキーやマクドのおかげで、ハンバーガーやフライドチキンがどんなものか判っている私達は幸福なのか不幸なのか。 そういえば高校時代の通学バスの運転手さんに聞いた話なんですが、 秋田出身のその運転手さん、修学旅行で初めて東京に行った時に 『なんかうまいもんでも食おう』とレストランに入ったそうです。 そこは食品サンプルが無い店で、メニューに『オムレツ』という見たことがない食べ物の名前が。 『でさ、どんなもんだろと思って食ったらさ、ただの卵焼きじゃないのぉ、ありゃまいったなぁ』 だそうです。いまどきの修学旅行生はどうなんでしょうねぇ。 テレビや雑誌で見たことがある靴や服や時計を買うことだけが『東京の経験』には ならないと思うんだけどな、おばさんは。 (だからって浅草で『どぜう』を食べろとはいいませんが)

これからトラブル続発になりそうだなと思われる材料名は『ビーンペースト』。 日本料理店のメニューでは『味噌』のことをよくビーンペーストと書いてあります。 でも中華料理お店では『豆板醤』をビーンペーストと呼んでいたりします(中華味噌のこともあり)。 一方、メキシコ料理店でビーンペーストといえば、チリビーンズに使う豆をすり潰したもののことです。 うーん、この三者の味っていうのは全然違うんだけど。 それぞれの食文化の人が自分の国の『ビーンペースト』の味を想像しながら注文したらすごい事になりそうです。 いや、でもこのくらいの差異はなんでもないか。 この前、とある雑誌を読んでいたところ、日本の食べ物について書かれた箇所で 『ライスボールのまわりにビーンペーストをコーティングしてうんぬん』という記述があったので???となりました。 焼き味噌おにぎりのことだろうか、と思ったら大違い。 実はこの『ビーンペースト』は、あんこだったのです。


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