日本の歩き方

入浴の作法



 
丸尾末広の挿絵

Quoted from "How To Take A Japanese Bath", Leonard Koren & Suehiro Maruo, Stone Bridge Press, USA, 1992.

湯船か蛇口からお湯をとり、体についた石鹸やシャンプーをきれいに洗い流す。 

(訳:ピンキィ君の夫)

帰宅した夫が満面の笑みを浮かべながら『面白いもの見つけた』と差し出したのがこれ、丸尾末広のイラスト付きの『日本風呂の入り方』。
表紙はこれ
丸尾末広は、平成の残虐無惨絵の巨匠としてアメリカでも人気らしい。明治時代の残虐無惨絵といえば女性が残虐なめに遭っているものだが、丸尾末広はどちらかというと、残虐なめに遭わせているのも遭っているのも男性というのが主流(だったと思う)。絵柄にもそこはかとない淫靡な香りが漂う。

で、以下は私の想像ですが(間違っていたらゴメンナサイ)、アメリカの丸尾末広好き(この人多分、男好き)が『ああ、このすばらしさを我らが合衆国市民にも伝えたい。でも、いきなり残虐無惨絵では皆引いてしまう。それどころか、PTAを中心に排斥運動が起きてしまう。どうしよう。ああ、この淫靡さをどうしても伝えたい。なにか足がかりはないかないか』と考えたのでしょう。彼の頭の中でぐるぐる『男→淫靡→裸体→男を裸にする必然性→丸尾末広は日本人』などの思考が渦巻いた末、頭の中でひらめいたものがあったんですね。『そうか、風呂だ!!』

Japanese Bath といえばアメリカでは一時、『ゲイシャガールと堂々と混浴できるエッチで楽しいところ』というイメージがあったようですから、もうこの人は喜んで丸尾末広さんに頼みにいったと。

だから、『風呂の入り方だけのこんな薄っぺらい本(わずか40ページでレイアウトもすかすか)なんか誰が買うんだ。箸の使い方とか、電車の乗り方とかなども図説して一緒に載せるべきだ』なんて文句をつけちゃいけません。これは『丸尾末広が描いた男の裸』を愛でる本なのです(多分)。


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