日本の歩き方

肉じゃが



 
Yer common spud (jaga-imo) is much appreciated in Japan, not least in Hokkaido where the splendidly titled danshaku ("the Baron") is preferred. It is originally arrived at the other end of the archipelago in Kyushu, in the early 17th century, when the Dutch brought it to Nagasaki. Sometimes called the bareisho ("horse-bell potato"), it is used in sunomono, aemono, nimono, oden and furai (deep fried; at McDonald's termed furenchi-furai). A favorite with foreigners is niku-jaga - stewed beef and potatoes with onion and carrot, in shoyu with mirin and dashi. Not only is this izakaya staple tasty, it is easy to order - just ask for a rubber-lipped Rolling Stones vocalist. Works every time.

Quoted from P.61, "World Food - JAPAN", John Ashburne and Yoshi Abe, Lonely Planet, Australia, 2002.

おなじみのジャガイモも、日本でよく食されている。特に北海道では、男爵イモという優雅な名前を持つ品種が好まれている。ジャガイモはもともと、1600年代初頭に、日本列島の反対側にある九州・長崎にオランダ商人が持ち込んだものだ。ジャガイモは馬鈴薯とも呼ばれ、酢の物、和え物、煮物、おでん、ふらい等に使われる(「ふらい」というのは「よく揚げたもの」という意味で、例えばマクドナルドでは「ふれんち・ふらい」というふうに使われる)。外国人に人気があるのは肉じゃがだ。これは牛肉とジャガイモを、玉葱や人参といっしょに醤油と味醂、ダシで煮込んだものだ。居酒屋の定番メニューである肉じゃがは、美味しい上にオーダーしやすい。ぶ厚い唇をしたローリングストーンズのボーカリストを注文すればいい。必ず通じる

(訳:ピンキィ君の夫)

上のガイドブックをうろ覚えした外人さんが、日本の居酒屋で『う〜ん、確か唇が特徴的なロックボーカリストだったよなぁ、あのポテト料理の名前。唇、唇〜っと...Oh!! スミマッセ〜ン、すてぃーぶん・たいらー、ヲ、ヒトツ、クラッサ〜イ』と注文したのを、若い店員さんが『は? スティーなんとかタイラー? スティーなんとかタイラー... あっ! スチームド・タイラだ! 板長! タイラ貝の蒸し物できますか!?』と叫んで、その過程を最初から見ていた板長さん(団塊の世代でロック好き)が『そりゃストーンズじゃなくてエアロスミスのボーカルだ。まったくどいつもこいつも...』と嘆いたりする、なんてことがあると楽しいんですが。

ちなみに、これを書いている今現在、Googleで『肉じゃが ミック・ジャガー』を検索すると、なんと約1600件もヒットします。一方、『nikujaga "mick jagger"』で英文ページだけ検索すると、1件しかヒットしません。でも、『nikujaga』だけで英文ページを検索すると1000件近くヒットするので、肉じゃが自体が海外で全く無名だというわけでもなさそうですが、ミック・ジャガーに引っ掛けるなんていう発想は、ガイジンさんには非常に少ないようです。

う〜ん、この著者さん(著者さんは二人クレジットされていて、そのうちのお一人は日本人のようですが、その日本人のかたは巻末の用語集だけを担当なさったと書いてあるので、本文は全部ガイジンさんのほうが執筆してらっしゃいます)、日本に馴染みすぎちゃって、おやじギャグも日本ナイズされちゃったようです。

それから、このガイドブックにこう書いてあるからって、『うィ〜ッ、これがアメリカ風の注文のしかたなんだよ〜、おねぇちゃんっ!! ミック・ジャガーひとつぅ!! なんてな! なんてな!』と注文しても無視されるだけですからね、そこの お・じ・さ・ま。

まぁ、飲み会のおやじギャグとして元上司がよく使っていたのが、新人歓迎会などで血液型を聞かれると(今やタブー?)『おれ? おれはねぇ、おれはねぇ、新潟!!』ってやつでした。まぁ、新人は喜ぶんですが、勤続十ウン年にもなると『血液型聞くなよ、聞くんじゃないぞ。課長言いたくてウズウズしてんぞ。リアクションめんどくさいんだよ。もう、これ聞くの何回目だよ〜』と心の中で突っ込んでいたもんです。


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