日本の歩き方

お寿司の作り方


台北駅地下街の特設バーゲン本コーナーで入手。
大変まともな表紙です。妙にエキゾチックさを表面に出していないところに好感が持てます。
うーんと、実はご飯とお酢の合わせ方にコツがいるんですけどね。

昔、体育の教師に卓球の授業で『寿司メシ混ぜるように打つんだよ!!(ペンホルダー全盛期...) おめ〜んチの寿司はそんな風に混ぜんのか!!』と怒鳴られまくった記憶が... 一緒に授業受けてた子は、『じゃあ、空いてるほうの手にウチワ持たせろよ、うまく打ってやるから』と毒づいていました。今、思い出すとかなり無理な指導としか思えません。なに考えてたんだあの先生。

なぜよりによって『こうぐ』。ジョン・ベルーシ演じる『サムライ・スシレストラン』ならありうるかも。ドリルやチェーンソーで作りあげられるお寿司...
こうなってくると助詞の欠落など気になりません。

で、どういうお寿司が紹介されているかというと...

『たいこん』って何だろう、と思ったら、
大根でした。基本っちゃ基本です。

う〜ん、この場合、大根は具じゃなくて容器なんだから『大根の寿司』というよりは『手桶寿司』とでもしたほうがいいと思います。

『たいこんのすし』で足りなかった濁点は、この作品に出張中でした。
えっと、誰だこんなの教えたのは。確かにイカの『鉄砲焼き』というのはありますけど、少なくとも江戸前のお寿司屋さんで『鉄砲巻き』と注文すると、かなりの確率で、かんぴょう巻きが登場します。
なんか、イギリスの諜報部員か日本の漫画家みたいになってます。
作品自体はいたってまともでした。お子様たちに喜ばれそうです。
中国人は、飛ぶものは飛行機以外なんでも食べるそうです。その流れを汲む(といったら怒られるのか?)台湾では、こいつさえ食うのか! 家庭ゴミを食い散らかすカラスとの戦いを継続中の石原慎ちゃん、料理法の教えを請うべきではないか!と思いましたが、
う〜ん、残念。

しかし、ちらいずし...

お婆ちゃん(孫に向かって): 『○○ちゃんは、ちいちゃい頃、おばあちゃんが作ったちらし寿司を食べなくてねぇ。”ほら、お寿司、美味しいよ” って薦めても ”それ、ちらい” って言うもんだから、それからおばあちゃんのちらし寿司は ”ちらい寿司” って呼ばれるようになってねぇ』

孫(反抗期ど真ん中): 『今でも嫌いだよ、いい加減あきらめて、永谷園のすし太郎でも、桃屋の五目寿司のたねでも、ミツカンの寿司酢でも使えよ。っていうか、目分量で寿司酢を作るな!! ちゃんと計れ!!』

お婆ちゃん: 『まぁ、おじいちゃん!! △△(孫の父、つまりお婆ちゃんの息子)!!、この子ったらなんてことを言うんでしょう!! ねぇ!!』

孫の父(つまりお婆ちゃんの息子): 『いや、俺も子供の頃からずっとそう思ってた

おじいちゃん: 『うん、ワシもおまえと一緒になった時からそう思うとったぞ』

なんてドラマのもと、お婆ちゃんが『わたしのお寿司は絶対美味しい。この味を世に問うてみせる!!』とネーミングされたお寿司なのかも...

なお、孫がお婆ちゃんの息子の子供じゃなくて娘の子供の場合は、娘によってお婆ちゃんの味が家庭に引き継がれてしまうので、孫は親元を離れるまでずっと『ちらし寿司はこんな味のもの』と思い込んでしまって、こういう会話は発生しないかも(まぁ、『なんで、ちらし寿司なんていう不味いもの食う奴がいるんだろう』と孫は不思議に思っているかもしれませんが)。

いや、実は夫が『親元離れて独り暮らしをするようになってから、○○って本当はこんなに美味しいものだったんだぁ、と発見したことがよくある』とこぼしているんで、こんなこともあるかなぁ、と...

あと、お料理研究家のかたの本などに、『このお料理の名前は何でこうなのかというと、息子が小さい頃○○をちゃんと発音できなくて、△△と言ったからなんですの』、などとおっしゃられてることがあるもので...

で、その息子はというと、すでに結構いいお年頃だったりするのに、おかあさまが料理研究家を続けていかれる限り、ずっとその話を持ち出され続けるのかと思うと、同情を禁じ得ないなぁ、と思ったり(まぁ、逆に、はにかんだ笑顔で『いやぁ、おふくろぉ〜、その話はちょっとぉ〜(いちゃいちゃ)』なんてやられたら『勝手にやってろ』とも思いますが...)。

実はこれも、『カラスのコップ』に続いて入れ物の話だったりします。
え〜と、お寿司だと思わずに、スタフド・トマト・ライスサラダとでも思えば、なんともありません。
『サンキス』とは?
オレンジ寿司のようですね。多分サンキストから来てるんでしょう。
これはいたってまともな感じがしますが実物は...
ガニラ出没の場面を再現しているとしか思えないこの躍動感。『ざっぱーん』という水音さえ聞こえそうな感じです。これはジオラマ寿司か?

というか、いくら姿作りの国・日本の文化をなぞろうという気持ちからだとは言え、ちょっと恐いですこのカニ...カニの種類が違うのは台湾なんだからなんでしょうか?

これも同じパターン。
頭は余計ですって頭は。

どうしても頭を使いたいなら、せめて切り離さない状態でお願いします。なぜ切り離したものをきれいに並べるかなぁ。首塚? それとも、『この頭数分ちゃんと海老使ってます』って言う証明? 頭食べるのが好きな日本人を知っている?

ひとつ前のもそうなんですが、『海老』に慣れている日本人の眼からすると、『蝦』と書かれると、なんか食欲が減退してしまいます(本来は生息形態の違いによって漢字を使い分けるらしんですけど、まあ、滅多にしませんよね)。
実物はこんなに美味しそうなのに。
タマゴにも『虫』。いや、『蛋白質』の『蛋』だというのは分かるんですけど、一瞬、シラミの皮と読みそうになってしまいます。
これも実物は美味しそうなのに。
カラツンとは? 玻璃紙という字面から、なんとなく判るような気もするんですが...
セロハンのようです。まぁ、今やセロハンなんか使わないでラップ使いますね(セロハン単体を購入することさえ最近は難しいですよね)。

で、今回のハイライト。

これ、最初に見たとき大笑いしたんですよ。
『わっ、油揚げちっちぇ〜、これ雛寿司かよ〜』とかいって。

で、『日本の油揚げはこんな大きさですよ』と並べようと思って夫をモデルに同じ構図の写真を撮ったところ...

 
同じぐらいの大きさに見えます。いや、夫の手がでかすぎるのか?

というわけで、どの作品も、味だけではなく見た目の美しさも追求して盛り付けに凝る日本料理の精神を尊重してくださっている著者さんの姿勢がよく現れていて大変うれしいのですが、ところどころに台湾のお国柄が滲み出ているところに、異文化理解の難しさのようなものを感じてしまいます。

で、この本の巻頭には、こんな文が。

著者さんは日本の料理店で修行をしていらしたそうだ。最後の2行には以下の文が。
『忌憚のないご意見・ご指摘を』とのことで、はい、書かせていただきました。

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