日々是口実 2002年10月〜12月

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(上の方が新しい出来事です)

某月某日
最近アメリカ出張づいている夫。

ところが今回は、自称『シティ派』の夫が苦手とするリゾート地マイアミ(新婚旅行も、アメリカにいたときの国内旅行も『ビーチ』とか『マリンスポーツ』とか『ネイチャートレイル』とかいったものとは、ものすごく縁遠い旅行しかしたことがなかった)。

ホテルの部屋もこのとおりのリゾートっぷり。

天井にファンがあるような部屋に仕事で泊まる夫
そして部屋番号はこのとおり。
部屋番号は911 電話にも911

ここも911 どこまでも911

今や『13』以上にアメリカ人にとっては嫌な番号を『こいつはジャパニーズだから平気だろう』と割りふられた模様。

今回も夫に『お土産、何がいい?』と聞かれたのですが、私の貧困な発想ではセブンマイルズブリッジの置物とか、カジキの干物(ジャーキー?)ぐらいしか思いつかず(だって私もシティ派なんですもの)断念。

飛行機の乗り継ぎ地のダラスになら『教科書ビルの置物』とか『再現人形つきパレードカー』とか『ジャッキー人形・ピンクのスーツバージョン』などがあるかなぁ、と思ったのですが、さすがにそんなモノもなかったそうです。まぁ、大津の観光土産にそんなものがないように、ダラス市民にとってもあの事件は『封印したい過去』のようです。でも、スミソニアン自然史博物館で『呪いのダイヤ』のレプリカ売ってるような国だから、あるかなぁ〜とちょっと思ったんですよ(ちなみにこのレプリカ、しっかり買いました。レプリカなんで本物の輝きには全然遠いんですけど、まぁ、話の種に。レプリカには呪いはかかってないし)。街中まで行けばそういう『悪趣味な店』の一軒ぐらいはあるかも知れませんが。

で、夫が買ってきたのがこれ、日本製ゲームの攻略本。
鬼武者の後略本
アメリカに住んでいた頃、日本から持って行ったゲームがなかなか先に進めなくて、英語版の攻略本を買ってクリアーした経験あり。『人間やればできるんだなぁ』としみじみ感じたものでした。今回のこれはメーカー名も書いてあるので公認攻略本だと思うんですが、謎の暗号が。
れロイミ? アひええレミ?
むふっまふそさふ』という前例があるんで、これも日本っぽさ(時代劇ゲームだし)を出そうと適当にカタカナひらがなを持って来たのか、それとも真面目に日本語で表現しようとして間違っちゃったのか、このカタカナの『ミ』らしきものを頼りに解読できるかなぁ、う〜ん、こういうとき頼りになる凡例も見当たらないしなぁ、とかいろいろ考えていたところ、夫が解読に成功。『れロイミ』は『NOTE』、『アひええレミ』は『PUZZLE』のようです(多分)。

次がこれ。

スペイン語の雑誌
マイアミはアメリカといってもほとんど中南米、スパニッシュ文化圏。雑誌もこのとおり(スパニッシュ商店ではなく、空港の売店で買ったもの)。

夫、店番のヒスパニック顔したマダムに『これスペイン語版よ、英語版じゃなくていいの? スペイン語読めるの?』と聞かれたので(普通確認するよな、どう見ても東洋人なんだから。私がそのマダムでも確認する。ここは文句つけ野郎だらけの国なのだから)、『マイアミ土産にするんだよ』といったところ『いい選択だわ』と誉められたそうな。この夫はアトランタで無愛想な土産物屋のマダムを、『妻にスカーレットオハラの人形買ってこいと言われたんで探してるんだけど』の一言で懐柔した過去あり。えらく親切にしてくれたそうだ。アメリカのおばちゃんは『妻や家族の頼まれものを探す男』には親近感を抱きやすいらしい。

でもこれ、『台北ウォーカー』と違って読めません。かろうじて判ったのが、右側の芸能雑誌の読者層は『幸運を呼ぶアクセサリー(さすがに日本のそれみたいに札びら切った写真が載ってたりはしないが)』や体型矯正ボディースーツ(というかウェストニッパー?)に興味があるらしい(ボディスーツの広告だけで4種類も)ということがわかったぐらいです。

それから、重いので画像だけ持って帰ってきてくれたのがこれ。

ゴーヤのジュース?
えっ、ゴーヤジュース? と一瞬思わせるぐらい商品名よりメーカー名がでかでかと書かれたジュース。夫もゴーヤジュースかと思って驚いて手にとってしまったそうな。

このGOYA、フロリダ界隈では一大勢力を誇る食品メーカーだそうです。実は夫が前回の出張で撮ってきた シカゴの『使徒』の写真 にもなにげに、このメーカーの出店が写ってます。当時はこのメーカーを知らなかったもので、『ピカソの作品の下でシカゴ美術館が”ゴヤ”展の告知でもやってるのかなぁ』と思ってました。

そして今回もアメリカン航空の機内通販誌。今回はクリスマスも近いせいか大幅増ページ版。夫のお気に入りはこれ。
飛行機の中に持ち込む前傾用マクラ
たたむのは数分かもしれませんが、膨らませるのにはかなりの時間がかかるような...(たたむ時もこの大量の空気をどこに逃がすかで、もめごとが起きそうな気がします)。

というか隣の席のおっさんがこれを使って寝た場合、おっさんが通路側か窓側でも向いてくれない限り、見たくも無い『おっさんの寝顔』を拝まされ続けるわけで、枕ごと転げ落ちてきたりした日にはもうなんというか、ねぇ(昔、通勤電車で何回ももたれかかってきたおやじをグーではじき返した過去あり。油ギッシュなおやじをマジックペンで押し返してペンをそのまま捨てたこともあり)。

う〜ん、これはビジネスクラス以上の座席で使わない限り、まわりの人々の善意と忍耐を期待するしかない商品だなぁ(これに似たものが未だに小学生の間に流行っている『ローラー付きスニーカー』。悪意ある人間がそばにいたらあれほど危険な靴はないと思うのですが)。だいいちビジネスクラスならこんなもんは要らんわなぁ。

それより何より、このおじさま、結構おなかのあたりが圧迫されて苦しそうです。前の座席の人間が席を倒そうものなら悲惨さ倍増。しかも必死に折りたたみテーブルをつかんで、枕ごと転げ落ちないようにしているようにも見えて、とても comfort とは思えないんですけど。

次はかわいいもの。

うんしょ、うんしょ、負けないぞ負けないぞ
ねずみ君のドアストッパー。

『蟷螂の斧』というか(まぁ、ちゃんと止めてるからちょっと違うが)『山椒は小粒でもぴりりと辛い』というか。もうちょっと必死な感じがあればもっとかわいいのになぁ、という気もしますが。

それか日本の技術でもっとリアルな塗りにして訪問客の悲鳴を誘う(いきなり椅子の上なんぞに飛び乗っていただけたら、もう最高)なんてのもありかなぁ、などと思ったりもして。

そして今回最大の謎の商品。

食料危機が訪れても大丈夫?
いや、確かに向こうのスーパーでも『シイタケ』は売ってましたよ(アメリカ人は『シータキ』と発音する)。

『健康に良い』と一部地域で人気とも聞いたことがありますが、日本でもめったに見られない活きシイタケ育成用ほだ木を通販するとは。もしや、大分の『一村一品運動』が過激に展開された結果、勢い余って海を渡っちゃったのか?

最悪、この商品を頼んだことを知らない(そしてシイタケも知らない)家族が開封したら、そのまま薪として燃やされちゃう恐れが...

それになぜかこの商品、ワイングッズのページに唐突に登場してるんですよ。他に『ワインに合うチーズ』とか『おつまみ』『オードブル』なんかがあれば違和感もまだ少ないんでしょうが、このページで登場している食べ物はこれだけ。もしやアメリカでは生シイタケつまみながらワインを飲むのが流行っているのか? それともほだ木のシイタケを育てるのにワイン貯蔵庫の湿度と温度が丁度いいからついでに載せているのか? ワインって繊細なものらしいので、しいたけの胞子が飛び回るなかで貯蔵して良い訳ないとは思うんですが、う〜ん???

で、付属してくるというレシピブックに『しいたけの残酷焼き(筒井康隆だったか吉行淳之介だったかのエッセーに出てきた、しいたけをほだ木ごと焼く料理)』なんか載ってた日には、アメリカ人のことだから暖炉に景気良く放り込みそうな気がするなぁ。


某月某日
マツキヨでラップを買う。マツキヨブランドだ。
マツキヨで買ったラップ
『さすが廉価プライベートブランド。なんかかわいげなキャラクターが廉価感倍増だなぁ』と気にも留めてなかったんですが、ある日ふとよく見ると...。
駄ジャレだった
 

この子もしかしてラッパー? もしかしてラップだからラッパー? ねぇ、そうなの?

その数日後、100円ショップをお菓子を購入。

えび満月? じゃなくて『えび満足』
『えび満月』は大好きだ。だから、これが『えび満月』じゃないというのは解る。

でも、この書体、『えび満』まではこんなに解り易い書体で書いておいて、『足』の字だけなんか『ムニャムニャムニャ』という声が聞こえそうな書体になっているのはどうかと思うが...

ついでにお味のほうなんですが、微かにえび風味がしないわけでもない『かりんとう』でした。いや、オリゴ糖と書いてある時点で気がつけよ私。でも、慣れると食べれちゃうんだなこれが。お試しになりたい方は是非。


某月某日
横浜に『北原照久アートコレクション展』を見に行く。
北原照久アートコレクション展
ブリキのおもちゃだけ集めてたんじゃなかったんだなぁ、若旦那。という充実の内容。

夫と『もし貰えるんだったらどれがいい?』などと盛り上がっていたところ、展示品の前でたむろしていた『だから、私いってやったのよ』オバさんたち(どこの展覧会に行ってもいるのが、他に鑑賞したい人が大勢のいるのに、作品にお尻をむけて立ちはだかって目録の解説を丸ごと暗記して、得意げに大声で仲間に話しているジイ様と、やはり、作品の前でたむろって『だから、それは間違ってるって、私、○○さんに言ってやったのよ〜』と得意げに仲間と世間話をしているオバさんなのだ)がいつのまにか一人もいなくなっていることに気がつく。

あり〜っ? と思って耳を澄ますと、どうも聞きなれた声がする。声のするほうに行ってみると、なんと北原照久ご本人がいらっしゃるではないか。偶然立ち寄ったか誰か知り合いでも案内してきたかのついでに、展示品の解説をしているようだ。

もちろんオバさまたちがそれを見逃すわけがなく、周りに人垣が出来ている。で、その解説っぷりがもう、『ああっ、若旦那ったら、ほんとに好きなんですねぇ』というのがよく分かる熱のこもりかた。いや、鑑定団で喋ってる時より何倍も活き活きしてました。

北原氏出現のおかげでこちらは誰にもストレスを感じることなくゆっくり鑑賞できました。ありがたや、ありがたや。

出口のグッズ販売コーナーでは北原氏が売り子として立っていたので、これまたすごい人垣。

北原氏プロデュースの食玩を売っていたのだが、食玩の仕組みが理解できず『だから私はこのおもちゃが入っているのが欲しいの、ねぇ、どれなの』と売り子さんに食い下がるマダムや、氏と並んで写真をとろうとじたばたしているマダム、自分の知っているありったけの知識を(作家さんのプライバシーなどを大声で延々と)開陳しつづけるマダムなどで大混乱でした。知識開陳マダムは氏が去った後も、その場にいた売り子さんに向かって壊れたラジオのように延々と喋り続けていて、なんか鬼気迫るものがあって恐かったです。

ん〜、マダムたちはともかく、コレクション自体は一見の価値あり。『裏北原(悪い意味じゃないです。少なくともテレビでは伺えない面)』を垣間見ることもできます。


某月某日
夫が仕事で新宿駅近くの某社を訪問したとき、プークの本拠地を発見。『行こう、行こう』と言うので見に行くことにする。
プークの『青い鳥』
夫が小学校の何年生かの頃、担任がプーク信奉者で、ことある度にその素晴らしさを語っていたとかで、いつのまにか夫の頭の中には『プーク = グレートでスーパーな都会の人形劇団』というイメージが出来上がっていて、いつか見たいと思っていたらしい。

私はどちらかというと、ひとみ座や木馬座系のほうに思い入れがある(ネコジャラ市とかケロヨンですね)ので乗り気ではなかったが、とりあえず見に行くことに。

まず新宿サザンシアターで子供向けの『青い鳥』。上演中にいきなり子供に読み聞かせを始めるお母様などが出現。あの、予習をきちんとなさってからいらしたほうが...

そのうえ、人形を操作する人が顔を出しているせいで、どう想像力の翼を広げても、そこにいるのはチルチルとミチルではなく、『黒い衣装を着て腹のあたりに人形を抱えているお兄さんとお姉さん』。ときどき芝居に夢中になるあまり、人形から視線が離れて自分の顔がお芝居してたりする。

観ている子供達も、普通『ねぇ、チルチルとミチルはどこへ行くの?』と聞くはずのところで『お母さん、あのお兄さんとお姉さん、次はどうするの?』と聞いていたりする。

人間が顔を出さない大型の人形の操作はさすがというか、とても迫力があって、龍や大喰らいさんが出てきたシーンでは子供達もマジで脅えてました。全編ああすればいいのに。

んじゃ、大人向けの劇だったらOKかも、と次は『天守物語』。これはプークの本拠地ビルの中の劇場。

プークの『天守物語』
この劇場は観客席が子供向けに作ってあって、椅子が硬くて狭い。

それは我慢するとして、後からゆ〜っくりいらした奥様が、『前のかた(夫だ)がじゃまで見えないわ』とだだをこねだし、ちょっとムッとする。私だって目の前のおっさんが邪魔で舞台の1/4が見えないんですけど、騒いでいいですか?

席の段差が子供用なのだ。せめて大人用の劇の際には舞台をもっと高くするとかしていただけると助かるのですが。

で、『天守物語』なんですが、う〜ん。今度、国立劇場に文楽見に行きたいです。なんか溜まっちゃいました、いろいろ。

以前、テレビ『驚き桃の木20世紀』で、文楽の頭作りの第一人者のお葬式に、お人形がお焼香に来たシーンがあって(もちろん、人形を操っていたのはその道の第一人者)、その場面を見ただけで泣けたんですよ。人形が活きてたんですよ。なので、こんどちょっと文楽見に行って、人形芝居ってどういうものなのか確認したいなぁ、と思っています(もしかしたら私が考えてる人形芝居の概念が、世間とは違うのかもしれないので)。


某月某日
渋谷にマグリット展を見に行く。
マグリット展
実は前々回のマグリット展(国立近代美術館で開催)が私ら夫婦のなれ初めだったりするんですが、あの時はゆったりたくさん見ることができたような記憶があるんですが、今回はなぜかぎゅうぎゅう詰(ああっ、夏休みに行った私たちが悪いんです)、芋洗い状態。年末のアメ横か、ここは。

いつのまに初来日当時のパンダ並に人気者になったんだマグリット。いや、前々回も人気者だったんですけど、若者が多かったあの時とは違って、今回は老若男女満遍なし。それに近代美術館はもともと建物が広くてゆったりした展示だったけど、BUNKAMURAじゃなぁ。

それから、いつのまに癒し系になったんだマグリット。『癒されるね〜』と叫んでる人が何人かいた。

やっぱり10ン年も経つといろいろ変わるんだなぁと痛感。


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