日本の歩き方

アサノ氏は…笑う
語呂で覚える日本語講座


日本人オビワン

The picture above and sound files below were captured from a movie "A Majority of One", Warner Bros., 1961, USA, and these materials are quoted in order only to help readers to understand my thought on difficulty of mutual understandings among different cultures. I believe that my way of quotation in this page is proper and reasonable.
その54:アサノ氏は…喋る』に引き続き、アメリカ映画 "A Majority of One" のセリフで日本語を勉強してみましょう。
これMP3ファイル約115Kバイト)をお聞きください
(主人公のアメリカ人女性とアサノ氏の会話)

「立派な娘さんねえ。
 お話できればいいのに。
 英語は全然話せないの?」

「ええ、一言もだめなんですよ。
 しかしミセス・ジャコビ、あなただって日本語を全然話せないでしょう?」

「・・・誰がそんなこと言ったの?
 日本語ぐらい話せますよ。
 まず、電話で "Hello" は『ムシムシ』でしょ、
 それから "Please" は『ドッゾー』、
 "Thank you" は『アルルリガットー』
 それともう一つ、えーっと、ちょっと待って、
 んー、何だったかしら、あっ、そうそう、
 "You're welcome"(どういたしまして) は
 "Don't touch my mustache"
 (ワシの髭に触るな)と言えばいいのよ」

「はは、その4つさえ知っていれば日本中どこへ行っても大丈夫ですよ」

「アルルリガットー」

「ワシの髭に触るな」

「わははは」

「おーっほっほっほっほ」

「むっふっふっ」

「いーっひっひっひっ」

「ひゃっひゃっひゃーはーはーはぁ・・・」

(訳:ピンキィ君の夫)

 
アサノ氏、『日本中どこへ行っても大丈夫ですよ』と安請け合いしていますが、大丈夫じゃないのはミセス・ジャコビがアサノ氏の自宅にまっすぐたどり着けなかったことで明らかです。

外国語が母国語で違う意味に聞こえてしまう例は枚挙にいとまありませんが、私の実体験では『オクラホマ』があります。アメリカ人が発音する『オクラホマ』は、なんと英語訛りの『横浜』に聞こえるんですよ。アメリカにいた頃、テレビのニュースを聞いていたら、『ヨッコハッマシティでなんたらかんたら』と流れてきて、いったい横浜で何が? アメリカでニュースになるような大事件でも? と思わず画面に見入ってしまったことがありました。

アメリカに2年近く住んでいただけなのに(ほんと、住んでただけ)、よく、知り合いなどに『”××してください”って英語でなんていうの?』とか『これ、本当の発音ならなんていうの』とか聞かれます。すごいのになると『夫婦で英語で会話してみてくれ』とか言われる始末(掛け合い漫才やりにきてるんじゃないんだよ!!これって、関東で、関西弁がしゃべれる人もよく言われることなので、『東京の関西人』の方にはよくわかっていただけると思います)。

しかし、実際生活してみると『いかに流暢にキレイに発音できるか』よりも、『いかによく聞き取れるか』のほうが、生きていく上では必要だとよくわかります。もう、喋るほうなんか、みんなすごい訛りでも、がんがん会話してますから(特に中国系の人々。あの根性には頭が下がる)。いざとなったら『発音どおりにローマ字で書きなぐる』なんていうのも結構いけたりします(生まれながらのアメリカ人でもつづりのミスは結構ある、まぁ、そうやって書いた英語が”禁句”や”卑猥”な意味になっていないことを祈るばかりだが)。『英語圏で生活していくうえで必要なのは、”自分の英語はこれで通じる”という信念と、豊富なボキャブラリーなんだなぁ(学生時代まじめに単語を覚えとくんだったっと何度後悔したことか!)』と痛感しました。

こんな私でも、よく行っていたビデオ屋や、おもちゃ屋、本屋では困ったことなし。物欲があると、少ない単語だけで会話が成立するのが”趣味の世界”だというのをはっきり自覚しました。あとファーストフード店とスーパーも、定型文さえ覚えれば会話能力あまり必要なし。

余談ですが、ワシントンD.C.に遊びに行った時に2回ほど泊まったモーテルがあるんですが、そこは韓国系の人の経営(看板にハングル併記)で、都市部近郊のモーテルには珍しくレストラン併営型。夫は『絶対コリアンバーベキューがあるに違いない。焼肉!焼肉〜!!』と大騒ぎ。しかし、レストランを入り口の方から覗いてみると、休日の夕食どきなのに、お客さんが一人もいない。私が『ねぇ、これってやばいんじゃない? おいしくないので有名な店かも』と言っても、夫『それでもいい!焼肉〜!』と騒ぎながら私を引っ張って入店。店の人に『コリアンバーベキューある?』と言ったら、店の奥のほうに導かれる... 『もしかしたら、どっかに売り飛ばされちゃうかも』などという恐怖を感じながら(お前なんぞキロいくらの価値も無いぞ)ついていき、もうひとつのドアをくぐってたどり着いたそこは、韓国系の人々で大賑わいの焼肉パラダイスでした(欧米系の人達は、バーベキューはOKなのに焼肉はだめなのか? 『バーベキューなんて自分ちでもできるじゃん』と思っているのか? それとも室内に煙がこもるような食事は嫌なのか?)。大喜びの夫は早速オーダーを開始。メニューを見ただけで、どんなものが出てくるのかをはっきりイメージできる注文は、日本料理店以外では久しぶり(さすがにステーキとかクラムチャウダーとかぐらいは判りますが)。『これとこれ、それからこれ』とどんどん注文。ところがサンチュが見つからない。『サニーレタスはある?』と聞いたところ、オーダー取りのおばさん首をひねる。で、10秒ほど熟考して『サンチュある?』と聞いたところ、おばさんは大きくうなずいて、にっこりして去っていきました。日本で使っていた焼肉用語が通じたことに感激しました(あたりまえだ、オーダーとりに来てるのは韓国系の人なんだもん)。でも、『ハラミ』とか『ミノ』あたりは通じないな、たぶん。メニューにも載ってないし。それから、韓国・朝鮮の食事マナーでは、お茶碗を手で持ってはいけないということぐらいは知っていたので、周りの韓国系の人たちに軽蔑のまなざしを受けないように、と思って意識していたら、そんな必要はありませんでした。なぜなら、ご飯のお茶碗は薄い金属製で、持って食べろと言われても熱くて持てないぐらいだったから。


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