外電ニュース速報
ピンキィ君とその夫、
高速道路で野生の鹿と衝突!!
1997年11月2日午後5時45分頃(現地時間)、 米国ピッツバーグ市郊外のインターステートハイウェイ279号線の路上で、 ピンキィ君の夫が運転する乗用車(91年型ホンダ・アコード 2600cc)が、 道路を横断しようと突然横から飛び出して来た野生の鹿 (体長約6フィート=約1.8m)と衝突した。
鹿はボンネットに乗り上げた後、 右前方に約50フィート(約15m)跳ね飛ばされ即死。 乗用車は衝撃で車体前部が中破、ボンネットが大きく変形し、 ラジエータがひしゃげるなどして走行不能となったが、 ピンキィ君の夫と、同乗していたその妻・ピンキィ君は シートベルトをしていたためまったく怪我はなかった。 また、他の車輌は巻き込まれなかった。
現場は米国にしては非常によく整備された高速道路で、見通しのよい直線。 事故当時、ピンキィ君の夫の乗用車は、片道2車線の右側走行車線を ひとつ前の車から約70フィート(約21m)の車間距離をおいて、 制限速度と同じ時速65マイル(時速約104Km)で走行していた。 また両車線とも、これとほぼ同じ間隔で自動車が走行している状態だった。 鹿は、自動車の進行方向左側から全速で道路を横断したらしく、 突然目の前に現れたため、ブレーキをかけようとする前に、 そのまま自動車正面やや左寄りが鹿の側面を跳ね飛ばす格好となった。
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事故発生時の模様(推定)
鹿と衝突したホンダ・アコード(翌朝撮影)
事故発生直後、ピンキィ君の夫は携帯電話で警察に通報、 AAA(日本のJAFに相当)にも牽引車の出動を要請した。
警察車両は通報から約10分後に現場に到着、 事故車を一目見るなり警察官は「ああ、鹿か」と納得し、 ごく簡単な質問(鹿は車線上にないか等)をしただけで 現場検証は終了。即座に事故番号を交付してくれた。
一方、AAAの牽引車は、要請の電話をしてから30分が経過しても現れず、 ピンキィ君とその夫が次第に不安をつのらせていたところへ AAAから携帯電話に連絡が入った。 「牽引車は10分以内にそちらに到着する」とのこと。
その僅か1分後に牽引車が到着。 運転していた青年に「何分待ったんだ」と聞かれ ピンキィ君の夫が「30分以上」と答えると、彼は首を振りながら 「オレがAAAから無線で連絡を受けたのは今から6分前だ」 と、少し気の毒そうに言った。 電話を受けたAAAの担当者は、約25分が経過してから 牽引車に出動を依頼したと推測される。
事故現場はピッツバーグ市中心部から北へ約15マイル(約24Km)、 丘陵地帯を切り開いて建設されたフリーウェイの両側には深い森林が続く。 森林の中には鹿・アライグマ等の野生動物が数多く棲息しているが、 フェンス等の遮断物は特に設けられていない場合が殆どのため、 彼らが交通事故に遭遇して死亡すること、 そして自動車側が大きな被害を受けることは決して珍しくない。
しかし現地では、近年日本で(その必要もないのに)流行している カンガルーバーを装着している自動車を見かけることは稀である。 その理由は、カンガルーバーを装着している車輌は 自動車保険への加入を拒否されることが多い上、 加入を認められた場合にも掛け金が非常に高額に 設定されるからだと言われている。
もちろんアラスカ州のように人口密度と交通量が極端に低く、 携帯電話が通じない場所が大部分を占めるような地域では、 鹿などの大型野生動物に衝突して自動車が走行不能に陥ると 生命の危険にさらされることになるため、事情は異なる。
ピンキィ君の談話
「断言しても良いですが、あれは絶対避けられないです。 いきなり目の前に、細長くて黒っぽいものが現れたと思ったら、 次の瞬間(本当に0.1秒もないぐらいで)激しい音と衝撃、 そして映画やTVで見るのと同じようにボンネットから白い煙が。 最初は、こちらの道路によく落ちている自動車の部品(バンパーやマフラー)か タイヤの破片が前の車に跳ね上げられて当たったのだと思ったのですが、 ボンネットの捲り上がりぶりを見て、そんなものじゃないとすぐに理解。 夫の『鹿だったぁ!!』と叫ぶ声でやっと事態を認識しました。 (さすがに運転していた夫は前を良く見ていたので、 ボンネットに一瞬乗り上げた鹿さんの姿形をはっきり見たそうです。 車を停めてから鹿さんを確認しにも行きましたし。) 私はご遺骸と対面しなかったため、 ショックは夫より少なかったと思います。
確かにこの周辺は、ちょっと郊外に遠出をすると 2、3分に一回は鹿さんやアライグマさんのご遺骸を目にします。 でも、まさか自分が当事者になってしまうとは思いもよりませんでした。
後でアパートの駐車場管理人のおっちゃんに聞いたところ 『俺も2回はねたことがある。知り合いにも沢山いる』とのこと。 さすがは映画『ディアハンター』の舞台・ペンシルバニア州。
『鹿注意』の標識を立てて注意を促すだけじゃなく、 (注意したって避けようがありませんから) もっと両側のガードレールを高くするとか、 道路の下に通り抜け用のトンネルを掘るとかして 鹿さん達を助ける方法(と資金提供)を オリビアニュートンジョンやグリーンピースあたりに 検討してもらいたいもんです。
ホテル代や各種入場料の割引目当てに加入したAAA。 郊外の高速道路沿いには電話がほとんど設置されていないので、 冬に雪の中で車が立ち往生した時困ると思って加入した (加入時にものすごく高額の保証金を取られた)携帯電話。 どちらも、まさかこんなところで役に立つとは。 お巡りさんもとても親切な人で助かりました。 『大丈夫?』と声をかけられた時は、本当に嬉しかったです。
今回の教訓は
『どんなに暖かくても、冬はジャケットを持って外出すべきだ』 (日没までには帰宅するつもりで薄着をしていたら、 事故で思いのほか時間をとられてしまい、 どんどん寒くなっていく中、とても辛い思いをしました)
『シートベルトをしておいて本当によかった』 (シートベルトがロックされたので相当の衝撃だったはず)です。しかし車って、思ったよりずっとずっと頑丈で強力なんですね。 これからは『見切り横断』するのはやめよう。私なんかイチコロだ。 それはともかく、ピッツバーグに1000人ぐらいしか居ない日本人が 鹿さんをはねる確率ってどのくらいのものなんだろう。
最後に、越冬準備で忙しい中を運悪く我が家の車『ベル号』に はねられてしまった鹿さんと、我が家に買われて約一年で 廃車になる(かも知れない)『ベル号』のご冥福を祈ります。」
ピンキィ君の夫の談話
「これからはオレのことを『鹿殺し』と呼んでくれ。 最近、前田や高田が図にのって言いたい放題ぬかしているらしいな。 本当に強いのは誰なのか、思い知らせてやろうじゃないか。 ヤツらに会ったら忘れずに伝えておけ。 11.23 両国決戦がお前らの命日だとな。」