日々是口実 2004年盛夏 九州旅行編
(上の方が新しい出来事です)
某月某日
ここはどこ? 私は誰...?ここは埼玉アリーナ、あなたはスタン・ハンセン。
というぐらい暑い今年の夏(2004年8月現在。って、この時点でここまで暑きゃ、もう充分)、皆さまいかがお過ごしですか? 私は今(関東人にとって)とんでもね〜ところに来ています。飛行機で空港に着いた途端出迎えてくれる看板が『ようこそ、火の国へ』ですよ、火の国。
気温は同じぐらいのはずなんだけど、陽射しの強さと、木の茂りっぷりがなんか違うよ〜。なんか、南だよ〜。『夏はダァ〜っと汗かいて。ガァ〜っとビール飲んで。ウワァ〜っと騒ぐ』のが好きな方ならともかく、『夏は暑いから』と言う理由で夫の実家への帰省を免除されている嫁としては、どうにも納得できない夏休み(幼少のみぎりは、神戸三ノ宮の祖母の家で夏休みをすごして脱水症状になったこともあるぐらい、夏に弱かった。今は脂肪の鎧をまとっているから、暑いのはへっちゃらだい!)。
で、何故ワタクシが、ここ火の国・熊本にいるかと言うと、目的はこれだったりします。
これだけのために来ました熊本に。それも夫の発案。いつから人形好きになったのだ、夫よ。横浜の人形の家では脅えとったではないか?
でも、これ凄かったです。こんな人形が何十体も並んだ見世物があったら、そりゃ江戸川乱歩も夢中になるだろう、という出来栄え。手足のパーツなんぞ切断死体みたいですよ(見たことないけど)。血管見えてるし。照明消したここへ放り込まれたら泣いちゃいますよ、絶対。ああっ、こういうのが見世物として存在していた時代を見てみたいなぁ。枚方パークの菊人形展もこんな感じだったのかなぁ。
見終わって売店で買った目録をよく見たら、この展覧会、次は秋に大阪でやるそうです。なにも遠い熊本までわざわざ来なくても、秋の食い倒れ大阪ツアーでもよかったんじゃん...
でも、これお奨めです。妙にエッチっぽさを押し出してくる耽美人形にはお腹一杯になってしまうかたでも、全然OKだと思います。
で、このかた健在でした。熊本といえば(私たちの世代では)チーターとこのかた。
子供の頃、このかたが男性だと聞いた時のショックと言ったら...カルーセル麻紀やピーター、青島幸男のいじわるばあさんあたりは『中身は男(というかメンタル面とかそういうのは抜きにして、外見上の形質というか、産婆さんが見た時点での判定要素)』だとわかっていたのですが、まさか、こんな口の悪い、しぐさもリアルなおばあさんを舞台とかドラマ以外で演じる(バラエティ番組や体験レポート番組にも、当時はおばあさんの格好出ていたような記憶が...)人がいようとは、小さい脳味噌では考えもつかなかったんですね。
とりあえず観光らしきこともしておこう、と熊本城に向かうが、その途上で余りの暑さと空腹に耐えかねて阪神デパートに避難して食事。入ったお店はすべての時が止まったようなところ。店員さんの時間だけが、お店よりはちょっと進んでいます。
オムライスとピラフをいただく。ああっ、味付けが高校時代の喫茶店の味だぁ。懐かしぃよぉ、美味しぃよぉ(この味付けは70年代に高校、大学時代を過ごし、喫茶店で駄弁りつつ味覚を形成した人でないとわからないかもしれないので、若者やグルメを自称なさるかたにはお奨めできないかもしれません)。
で、ふとテーブルの上のデザートメニューを見ると『しろくま』が。そうそう、熊本に来たら『しろくま』だよねぇ(あとで、それが大変な過ちだと気づく)、と注文。出てきたのがこれ。
う〜ん、妙にシンプル。というか、パフェ食器に入っているのはともかくとして、この金属製の受け皿を見たのは何十年ぶりだろう...味は練乳を使っていない白蜜系(神奈川あたりのコンビニで売っているのは練乳入りばかり)で、さっぱりして美味しかったです。でも、本物って、もっといろいろ乗ってるって聞いてたのになぁ...他んとこで探すかぁ。
で、熊本城に到着。
野外ステージ型コンサート会場か?と思ったんですけど、ただいま熊本城改修(というか復元?)工事中らしく、これはその足場だそうです。そういえば、このあたりで植木鋏が落ちているのを目撃しましたが、持ち主さん、無事発見されましたでしょうか?
天守閣です。どこのお城でもそうなんですが、階段がきつい(大阪城除く)のと、昇るにつれてどんどん暑くなる(一番上の階がガラス張りになっているお城は見たことがない。窓という窓が全開。つまり最上階から夏は熱風が、冬は寒風が吹き込んでくる)のと、フジカラーの『全国の城』の写真が飾ってあるのが天守閣らしさをかもし出しています(フジフィルムさん、余計なお世話かもしれませんが、いい加減色褪せてきてるんで、写真を新しいのに変えるか撤去した方がいいですよ。じゃないと、『フジカラーで撮ったら、こんな風に色褪せちゃうんだ』とか思われて、かえって逆宣伝になっちゃいます)。
ちょっと個性をみせていたのが、天守閣入り口の両脇に座ってた警備員さん。二人とも足軽の格好で、大変キュート。夏は無理なく生足(だったか記憶は曖昧だが)になれて、ナイスですね。
これが、先ほどの銀屋根の下です。う〜ん、これは改修っていうより、やっぱり復元だな。
なんか、入道雲も勢いが違うなぁ...
ともかく、暑かったです。そして、韓国からのお客様が大勢いらっしゃいました。自販機にもゴミ箱にも売店にも、さりげなくハングル併記。十年前の別府も韓国からのお客様が多かったんですけど、ここまでハングル併記じゃなかったなぁ。ワールドカップのお陰かなぁ。それとも加藤清正の...(それはない、と思う)
夕刻。ホテルへ帰る途中で、『郷土料理セット』がある居酒屋を発見。名物料理は食べとかなきゃねっ(去年のタリンで味をしめた?)ということで入る。私は昔食べたからし蓮根の味を再確認してみたかったし(凄く美味しかった記憶があるのだ)。
これが『郷土料理セット』。からし蓮根は記憶の味の方が美化されていた模様。一文字ぐるぐるは美味しかったです、う〜ん、普通のねぎのぬたなんだけどなぁ。
左側は馬刺し三種。上から普通の肉、たてがみ、タンとのことです。このたてがみ、ただの脂身に見えますが、全然脂じゃなくてクニクニしてて美味しかったです。こりゃ、町田駅前から引っ越しちゃった『けとばし屋』を探さねばなるまい。夫は馬刺しが大いに気に入って何皿もおかわり。
この居酒屋さん、お料理が美味しかったです(比較サンプル、今回泊まったホテルの朝食バイキングの一文字ぐるぐるとからし蓮根。いや、朝食バイキング用だし、あんまりご飯が進まれちゃっても困るだろうし)。焼酎も色々揃ってましたが、あんまり詳しくないもんで。
満足して居酒屋を出る。
たまに、具無しのシンプルなおにぎりを食べたい時ってありますよね。それも酔っ払ってる時。で、ダイエーで買って帰りました。
『白米おにぎり』なんていうのより、ありがたみのあるネーミング。この近所には戦中戦後の混乱期に食べ盛り期を過ごした年代の方が多いのか?『ねぇ、ねぇ、銀舎利ってどんな具?』とか、『変わったおにぎり食べたくて”銀舎利”っていうの買ったら、具が入ってないぞ』などと言うお嬢ちゃんや坊ちゃんが居ないことを祈るばかりです。
いっそ、『その中には悪人には味がわからない、仏様の骨に味が似ていると言われている具が入ってるんですよ〜』と答えてしまうのもありかも(←いや、ほんとにやったら保健所に通報されるかも...で、『人骨入りおにぎり売られる?』なんてニュースになったりして)。
ホテルの部屋はこんな感じ。
実は生人形展をやっていた美術館と同じ建物の中にあります。
う〜ん、最近気が付いたんですけど、ホテルって、お風呂場のスペースに余裕があってシャワーコーナーが別にあると、それだけで部屋全体が広くてゴージャスに感じますよね。翌日、博多へ移動。ただ熊本に行って帰ってくるだけじゃもったいないと考えた夫が『リレーつばめに乗りたい』と言ったのでこういう旅程に。
熊本駅のホームで見かけたのがこの袋。
今はどことどこの間を往復しているのかさえわからないぐらい書き込みがなされた袋。というか、これ今でも現役なんでしょうか? なんか、無造作にホームに置いてあったんですけど。先鋭の車両デザインで突っ走るJR九州。短い編成のワンマンカーといえども力を抜いていません。
な、成田エキスプレス?と一瞬思わせるデザイン。夫の実家付近を走るJR四国とは、ひと味もふた味も違います。今回は『リレーつばめ』のグリーン車を奮発。客席にはスリッパ常備(使い捨てタイプではなかったが)、ジュース飲み放題、乗務員のお嬢さんがこれでもかと世話を焼いてくださります。
で、内装はこんな感じです。
トイレ付近の通路がこれです。すべて内装は木製(トイレ内はどうだったか未確認)。もちろん、ここも。
ごみ箱でさえウッディ。博多に到着。これがリレーつばめ。
ちょっとベンツマーク風のエンブレムをつけた、メタルグレーのイカしたスズメバチ。でもって、隣のホームに佇むこいつは、生き別れの兄弟『スーパーソニック』。
窓の中のSONICのロゴプレートと車体下部の竹やりがヤンキーテイスト満点の、後から来た野郎がのし上がってきてJR九州特急車両No.1の地位から転落してグレかけのスズメバチ。しかし、このバックミラー、いったいどういう時に使うんでしょう? あまり実用的に見えないんですけど。これもヤンキーカーに付きものの、こけおどし用の飾り?
地下鉄に乗り換えてホテルへ向かう。切符の自販機を見ると、わが家の周辺の鉄道では見かけたことがないこんな仕組みが。
これは便利だ。自販機の呼び出しボタンを押そうとする度に、横の小窓から不機嫌そうに『はい?』と出てくる駅員さんの顔を想像しなくてもいいだけ気分が楽ですね(子供の頃は、『なに!?』と怒鳴られたことあり。最近は『どうされました?』と出てきてくださるようですが、これは私がおばさんになったからか? 一番びっくりしたのは、ちょっと離れた事務所から駅員さんが『払いもどしっすか?』と走り出てきた駅ですね。電車が1時間に1本の駅なら出来なくもない芸当か? いや、それよりなにより切符買う前は料金をよく確かめろ!!ってことですね)。博多の宿はここ。
部屋はこんな感じ。
別館と、そこへの通路も凝ってます。
有名なデザイナーさんに頼んで作ってもらったとかで、写真集まで出版したようだ(その写真集が各部屋に置いてある)。
バブル時代に大変リキを入れて作ったようだが、部屋の写真を見ても判るように内装にはかなりガタがきている上、窓にはレースのカーテンがないので鎧戸を開けると中が丸見えになるという実用性のなさ。ロケーションは中州の屋台街から川を挟んだ対岸。キャナルシティも天神も徒歩圏内。
つまり、こういう感じのロケーション。
ところが、中州や天神からは、こんな路地に入らないとホテルにたどり着けない。
正面に見えているのはラブホ。
部屋の窓からも、このラブホが見えます。
この浴槽の深さとか、
この風呂椅子と洗面器とか(デザイナーズホテルの浴室に風呂椅子と洗面器...)、
備え付けの寝巻きとか、
ビデオメニューとか、
有料チャンネル用カード販売機がエレベーターホールにあるとことか。バブル時に、ホテル周辺もドカーンと再開発されるだろうと、その先駆けとして建設したのに、再開発が始まる前にバブルがはじけた模様。従業員さん達が凄く一生懸命働いてる(どの従業員さんも、てきぱきしていて丁寧で明るくて、とても好感が持てます)のに、なんか気の毒です。
それとこのホテルをデザインしたデザイナーの皆さん、自分のデザインした作品として語られるのだから、デザインしっぱなしでなく、作品としての維持管理に少しでも関わってみたらどうでしょう? あー、でも、建築デザイナーって、引き渡したら、もう涙ながらに自分の作品が変化していくのを見ていくしかないんでしょうか? う〜ん。
キャナルシティへ行く。
そこで、こういうお店を発見。
グリコが全面にでていますが、九州土産店。このお店で、えらい間違いに気がつきました。
しろくま、鹿児島名産だったんだぁ〜。しろくま→熊→熊本名産と思ってましたよ、私。こっちは思っていた通りゴージャス(カキ氷としては)だぁ。なんか東南アジアの匂いもするぞ〜
で、恒例、ご当地カレー。
今度は馬。う〜ん、北海道物ほどの爆発力はないなぁ(トドカレーを結局食べなかったやつが何を言う)。同じお店でお土産品も購入。
クイズです。これは何をかたどったキーホールダーでしょうか?
ヒント:どちらも博多名産の食べ物です。ああ、汚れちまった自分が嫌になっちゃいましたよ。
左が明太子くん、右が明太子ちゃん、と、わが家で勝手に命名。命名理由はやはり汚れた大人にしか判りません。判ったあなたはワタクシ並に汚れています。この夏は滝にでも打たれてください。私はこのままどす黒く汚れていこうと思います。
え〜、一息ついて、心を美しくピュアにいたしましょう。同じくキャナルシティにある、ムーミンカフェです(いや、作者自身がどう思っていたか判りませんが、日本ではムーミン物語はピュア扱いされているようなので)。
ショップとレストランが併設。フィンランドの軽食やパンが食べられるので、『ふふん、どれぐらい近いのかしら〜』と試しに入ってみることに。現地のビールが飲めるんですね。それより何より、スモークサーモンのそこはかとない生臭さがフィンランドの味〜。昨年フィンランドに行った時、ホテルの朝食バイキングに毎日スモークサーモンがあったんですが、最初のうちは喜んで食べていた夫が、その分厚さと生臭ささ、そして軽すぎるスモークのせいで、4日目ぐらいにはげんなりしてました。日本人のスモークサーモンの味覚を決定するとは、王子製紙偉大なり、ですね。
伝票は罫線無しのフリースタイルカーボンでした。翌朝、空港に向かう前に天神へ。そこのデパートの中の紀伊国屋書店に、こんなグッズのコーナーが。
博多といえば男気祭り、祇園山笠。同じ祇園関係の祭りなのに京都のと逆ベクトルへ進んでいっているのが興味深いです。このコーナーの前で、海外へ短期留学するらしき息子を囲んだご家族が、『ホームステイでお世話になるお宅に、自分の住んでる博多にはこんな祭りがあるんですよって説明するのに、この写真集なんかいいんじゃない。日本らしいお土産にもなるし』と話し合っておられましたが、お母さん、へたをすると息子さんの貞操に危機が...そのお宅にそのケがある息子さんでもいらしたら、えらいことに...
こんなイカす生尻・生足の写真集、海外ではなかなか手に入りませんから...
と言う冗談はさておいて、とりあえず買いました。イカすTシャツ。
夫に『どこで着るの』と言われたので、『甥っ子か誰かにお土産に』と言ったら、『それだけはやめときなさい』と言われちゃいました。何故?で、帰りの飛行機に乗るために福岡空港へ。
実はここで近頃流行りの空弁を買って機内で食べるのも、この旅行の(後付けではあるが)目的だったのだ。
以前テレビの空弁特集で見てから食べたくてしょうがなかった福岡空港名物、フグ寿司弁当の通常バージョン〜。食べるはJALのクラスJシート〜。テーブルちょっと大きめ〜。これをがさがさ開けてたら、キャビンアテンダントさんがにっこり微笑んで紙オシボリをくれました。クラスJ強化月間中だったからか? それともこれを売っていたのがJALショップだったからか?
こちらはフグ丸ごと一本バージョン〜どちらも夫と半分づついただきました。フグの身はコリコリした歯ごたえで、とても美味しかったです。
そして、こちらがまた別のフグ寿司弁当(機内で食べるにはちょっと大きいので、帰ってからの晩御飯用に購入)。
フグのお寿司も唐揚げも美味しかったんですが、焼いた地鶏がこれまた美味しいんですよ。フグも地鶏も、しばらく反芻しちゃう味でした。