日々是口実 2006年お正月編

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(上の方が新しい出来事です)

某月某日
やっぱり帰るのか、今年も... 夫の実家に嫌々帰省。

前年と同じ大晦日の同じ飛行機に乗ったので、『もしかしたら、また二宮清純が乗ってるかも〜』と思ったが、姿は見えず。『う〜ん、JALにいろいろあったから乗る会社変えちゃったのかなぁ〜』と思いつつ夕刻、夫の実家に到着。今年はテレビの仕事がなかったのかと新聞のテレビ欄を確認したところ二宮清純、今回はお昼頃の番組に登場していた模様。道理で乗ってないはずだ。前日か朝早い便で帰省した模様。

ところで、帰省しつづけて十ん年。またあのお正月料理を見るのはつらいなぁ、と思っていたら姑、最近冷凍食品に目覚めたとかで(どうせ目覚めるなら、デパ地下おせちに目覚めて欲しい...)、おせち料理一部撤廃、毎回一品は冷食。う〜ん、結婚十ん年目にして、私も遂にお客さん扱いから家族扱いに? しかし、残留組のおせちがなぜ私の嫌いなものばかり... で、それは義妹一家の好物ばかり。まぁ、しょうがないか...

甥姪はお年玉をもらった途端、遠方の伯父伯母に興味をなくし、元旦営業の電器店に行きたがる。ああ、昔、正月三が日お店を休んだのは、ガキどもに礼節を教えるためだったのかもねっ。

おい!! そこの兄弟げんかで弟に腕ひしぎ逆十字をキメているお嬢さん、退屈なら伯父さんに『トランプでもしよう!!』とか『首都圏のほうはいかがですか?』ぐらい声かけてやれよ(伯母さんははなからあきらめてる)。来年のお年玉アップ間違いなしだぞ。

ということで、前々から行ってみたかったこれを観にいく。

四股名がいかしてます。
原子力』というネーミングは多分、伊方原発(というか四国電力)が1、2を争う良い就職先だったりする土地柄からきているのかもしれません。

私は『谷口畜産躍進』という、なんのひねりもない四股名が強そうでお気に入りだったりします。でも、弱かったらすぐ潰されちゃいそうだなぁ。

ちなみにパンダというのは、牛の柄から来ているネーミングだそうです。『ねぇ、パパァ〜、わたしぃ、パンダがぁ好きだからぁ、パパの牛にパンダってつけてぇ〜』『そうか、そうか、アケミ(仮名)にはかなわんなぁ〜、がっはは。じゃぁ、ワシの牛にはみんなパンダってつけようなぁ〜』などという経緯(一瞬そういう想像をしてしまいましたよぅ...それか、孫にデレデレのおじいちゃんオーナーが、パンダ好きの孫のためにつけたとか)で名付けられたわけではありませんので悪しからず。

最寄駅から無料送迎バスに乗って闘牛場に到着。宇和島名物(?)牛鬼が出迎えてくれます。

 
闘牛場の中はこんな感じ。
ちなみに西武ドーム方式で、屋根はあるんですが吹きさらしです。めちゃめちゃ寒いです。
近所の皆さまはマイ座布団持参。

で、ビジターはというと、冷たい木のベンチから這い上がってくる寒気に震えながら座るか、レンタル座布団を借りることになります。

ちなみ料金は100円ほど、大変リーズナブル(というかベンチをなんとかしてくれぇ)。

外を見ると牛が次々と到着中。

 
殆どは普通の牛馬用のトラックでやってきますが、中にはクレーンつきトラックで吊り上げられる、ちょっと気の毒な奴も...

土俵入りが始まります。

周りの観客を見回すと、キックのとき想像していた客層そのものの血を見たそうな(そこまでやるほど、牛のリミッターは外れやすくはないようです、というかそういう闘い方はさせないようですが)ワンカップ片手のおじ様たちだらけ。

ふと前を見ると、タッパー持参のオジイ様たちが魔法瓶に入れた熱燗をちびちびと飲みながら(お茶で顔は赤くならないし、ちびちびとは飲まないと思う)まったり中。よく見るとタッパーの中は、2/3を占めるかまぼこ集団と、結び昆布の煮物、蓮根の煮物(お煮しめの一員ではなく、蓮根だけを煮たもの)。

つまりどう見ても当地のおせちの残り物。それが証拠に、かまぼこの種類が豊か。縁が緑色のかまぼこや、ナルト(なぜか斜めにスライスしたナルトがおせちのお皿の上に鎮座したり、お雑煮の中に鎮座したりするのだ。この辺りの人にとってナルトとはラーメンの具ばかりではないらしい)、油揚げを巻き込んだかまぼこをスライスしたもの等がどかどかと(この”どかどか”というところが当地の御節のポイント)詰め込まれている(普段でもこれらのかまぼこを食べるかもしれないが、これだけ一斉に登場するのは、お正月以外では冠婚葬祭時のみらしい)。

詰め方はというと、奥さんに『闘牛に行くけん、酒のつまみ!!』と要求したところ、『なにも正月二日から闘牛行かんでも』と適当におせちの残りを放り込まれたか、奥さんに『お酒はダメ!』と怒られて『もうええわい』と自分でせっせと詰めた(この辺りのおじさまは、食べ物に関しては意外とまめです。けっこう奥さんに隠れてこそこそ、燗つけたり、料理したりします←サンプル5名)ような大雑把なレイアウト。

 
席が一部がら空きだなぁ、と思っていたら、開始間際になって小学生の団体が入場。小さい頃からこうやって刷り込んでおくらしい。

ガイジンさんのグループも数組。中には酔っ払ったおっちゃんたちから歓待を受けている一団も。

場内放送では、ガイジンさんがいるのを気にしてか(まぁ、英語で放送してるわけじゃないから違うとは思いますが)、ハリウッド映画と同じ発想なのか、『闘牛は牛を虐待しているものではありません。ぶつかり合うのは取り組みの時だけで、後は大変おとなしくしており、飼い主さんも牛を大変大事に扱います。善戦し続ければ肉牛より長生きします(←ここで笑いが起きないのが、さすが畜産の盛んな土地柄。家畜は有効に利用すべきもの、と思ってるからだと思います。多分)』とのアナウンス。まぁ、闘牛を見に来てる人が『これは虐待だ!!』と騒ぐことはないとは思うんですけど、まぁ、うっかり連れてこられちゃった人もいるだろうしなぁ。

で、試合はこんな感じです。

  
スペインのと違って、牛同士がぶつかり合います。まぁ、普通『闘○○』というのは、同じ種の動物をぶつけあうものだよなぁ(うんと昔にスペインのあれを闘牛と訳した人との見解の相違ではあるんですが)。スペインの闘牛は異種格闘技というか、ライオンなんかと闘った由緒正しい(?)グラディエーターの末裔だよなぁ。

周りの席にいたおじさまたちによると『今年はええ試合の多い、ええ初場所やった』ようです。それだけ激しいぶつかり合いが展開されると、牛ではなく人のほうに怪我人が...

2度ほど救急車出動(そして警察の事情聴取と現場検証も)。

その度に、『牛は普段は大変おとなしい、優しい動物です。合図があるまで闘ったりはしません』との、なんとコメントしてよいのかわからないアナウンスが繰り返されます(それを戦わしてんのは人間なんだけど、やっぱ、私たち人間って、ひどいやつらなの? と、ちょっと反省を促されているような... いや、牛、人食うわけじゃないし、勢子のおっちゃん達も危険を承知でサクの中で煽ってるわけですから... それに、一部のわけのわからん愛犬(?)家みたいに、すぐ外に脱走できるようなところに牛を放し飼いにしたり、人に牛をけしかけたりするわけじゃないので、テリトリーの中に入らない限り、危険とは思わないんですけど...)

怪我した人の状態が気になって、帰ってからテレビのニュース見たんですけど、『今日、闘牛の初場所が開催されました』という話題は出ても、どの局も事故のことには触れず。う〜ん、怪我人出るの当たり前ってことなんでしょうか? あと、なんとなくなんですが、勢子さんの高齢化(と思うんですが、昔から勢子さんには老練なかたが多かった?)にも一因があるような...

で、この伝統行事にも時代の陰が...

今度行ったら、この横に『この施設に問題の建築士は関わっておりません』と追加されてたりして。

翌日、お勤め終了。帰りは中年夫婦には大変厳しい『アンパンマン列車』(正式にはアンパン列車・ドキンちゃん号)。私たちの席はアンパンマン度の低い(でも、外から見るとアンパンマンキャラに囲まれて移動しているように見えるが)普通の車両。が、お隣の車両は...

 

アンパンマン度全開、それもピンク、そしてハート(ドキンちゃん号だから)。近所の保育園でこれに近いインテリアを見た覚えが...

写真を撮ってきた夫によると、うっかりここに指定席が取れてしまったらしいUターン中らしきお兄さん(マニアの方でないのはオーラで判ったそうです)が、居心地悪そうに座っていたそうです。それも、30分近く貸切状態。よく見てみるとお判りかと思いますが、お兄さん窓の外みたまんまです。ある意味、拷問?

到着。

 
う〜ん、私はあかちゃんまんあたりを額縁に移動していた模様。

この列車、昔のアンパンマン列車より、よりデコラティブにバージョンアップしているような...でも、ヘッドマークだけは聖域のようで、ここまでは彼ら進出できなかったようです。

そして、このあたりに大人の事情が垣間見えます。おおっ、ピノチオ潰れとらんかったんか。って、これって昔よく関西でCMやってた、幼児服会社ですよね?

それから、以前にアンパンマン列車(カレーパンマン号)に乗ったときには気がつかなかったんですが・・・

 
切符の検札印がアンパンマン。

これは貰って帰らねば、と改札のお嬢さんにお願いしたところ、『ちょっとお待ちください』と事務所に入っていかれて、こんなものもくださいました。

中年男女二人組であろうとも、こういうものをいただくのは大変嬉しいものです。ありがとうございますお嬢さん。

とりあえず1種類だけですが押してきました。

ぺったん。

JALに乗り換えて、無事羽田に到着。さて、京急で帰るか。

ところが、いつもは、『イェイ!イェイ!行くぜ!飛ばすぜ!ブッちぎるぜ!』電車(小田急の『発車までしばらくお待ちください』が2分ぐらいなのに対し、京急の『しばらくおまちください』は最短10秒ぐらいだったりするのだ。10秒ぐらい『しばらく』じゃあないから気にしないで下さい)、別名、黄金町にも御殿山ペアシティルネッサンスに行くのにも便利な電車こと、『赤い電車』京急の発着表示板が『調整中』になっているではないか。

原因は箱根駅伝の復路。

箱根駅伝は『箱根登山鉄道を止めるレース』として有名だが、京急も止まります。特にバラけてしまう復路は長いこと影響を受けます。私の乗った列車はコース上にある踏み切りのまん前で見事に止まりました。

レース中は羽田から横浜方面への直通列車が全部蒲田止まりになってしまうので蒲田で乗り換え。羽田への直通が停止している間、いつもは羽田にだけ相互乗り入れしている別の会社の列車が『京急川崎』の行き先表示を出すのがレア(かつ、京急の羽田線の問題の踏切は年内に高架化されるので、このような騒ぎは今年限り)だっていうんで蒲田駅のホーム先端にはカメラを担いだ大勢の鉄道好きが。

駅伝の応援を終えた(どうも、私が乗った電車を止めたのが最後の走者だったようだ)人々も次々とやってきて、蒲田駅構内はえらい状態に。京急の駅員さん叫びっぱなし。

やっと三崎口行き快特(関東私鉄で最強最速の列車。くるりの歌で有名になった『歌う電車』に当たる率も高し)に乗り込んで、ふと前を見ると・・・

 
大会関係者のかた、一番早い移動手段として電車ご利用の模様。横浜で降りていかれました。

で、しばらくしてから夫が買ってきた雑誌にこんな記事が。

 
(『新潮45』 2006年2月号 P.116)
原子力以上のインパクトあるネーミング...

四国辺りのおっちゃんの頭の中は60年代後半〜70年代前半の原子エネルギー全能時代のまま止まっているのかも。


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