このページは、藤井浩さん主宰の
日本ちんこまんこ学会』に寄せたレポートです。

日々是口実 2001年大晦日
愛媛県 宇和島市
多賀神社 凸凹神堂

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夫の実家に帰省したついでに、ちょっと足を伸ばして『多賀神社』へ。

わが『日本の歩き方』でも紹介した ガイドブックの記載 によると、おばさん達が指差して笑いながら見学できるらしいので、安心して出かける。

JR宇和島駅前の観光案内地図にはしっかり記載されていた。徒歩約10分で多賀神社に到着。思ったより小さい神社(そういえば川崎の 金山神社 も小さかった。あそこは境内に幼稚園があったおかげで暗さは微塵もなかったな)。

そして、その奥に堂々とそびえるこの建物。

凸凹神堂・鉄筋コンクリート3階建て
神社の宝物殿程度のせこい建物を想像していたら、それをはるかに上回る大きさ。鉄筋コンクリート3階建て。凸凹神堂の文字さえなければ、どこかの薬屋さん(ヒサヤ大黒堂とか)の建物と言っても通用する。

入り口にはこんな表示が。

傘あります・・・
折りたたみ傘が300円と言うのは安い。

受付には大掃除中の女性が。『ああ、この人、オッちゃんとかにからかわれたりすることもあるんだろうなぁ』と思う。
入場料を払って中へ入ろうとしたら、ドアに撮影禁止・撮影料2万円の大きな張り紙が。しきりに残念がって2万円出してほしげな顔をしている夫を無視して入場。

展示物のあまりの多さと密度に圧倒される。石像、木像、陶器、写真、絵画(浮世絵の類はコピー多し)、マンダラにタントラ、はては根付や水筒・・・ ひと一人が通れるだけの通路が確保されているだけで、展示物てんこ盛り。

あまりの物量に吐き気がするぐらい。異様な執念というか、八百万の神々の霊気というか、異様なオーラを感じて、入場した途端に出たくなってしまった。とても『指差して笑う』なんていうレベルではない(いや、指差して笑っていたおばさん達は、それ以上のエネルギーを持った人たちだったんだなぁ。と感心する)。

展示物の出所も世界中のあらゆる場所に広がっている。韓国、南北アメリカ、ヨーロッパからインド、新疆ウイグル自治区、パプアニューギニア。この神社の宮司さんが自分で出かけて行って集めてきたらしい(フィールドワークしている写真が何枚も貼ってある)。

こういう資料館につきものの、『訪問者の写真・色紙』というのも多数あり。三遊亭楽太郎、柳家小さん、林家九蔵(このあたりは芸のこやしのためということで)、若井小づえ・みどり(まぁ、おばさんだから)、梅宮辰夫、JR四国キャンペーンレディー2名(JR四国はここを観光ポスターに使ったのか?)、インディアナ大学キンゼイ研究所の出版部長(女性)など。不思議なのは中国・在大阪総領事館の領事夫妻。『なぜ、ここを夫婦で訪問し、かつ名刺まで残していったんだ』との謎を投げかける代物。

紛らわしいのがアグネス・チャン。宮司さんとのツーショット写真が掲げてあったのだが、ここを訪問したわけではなくて、宮司さんがどこかの国にフィールドワークに行ったときに空港で見かけて記念撮影させてもらったようだ(その証拠に、アグネス・チャンの手には免税品とおぼしきタバコ2カートンが)。まさか海外旅行先でファンらしきおじさんと気軽に撮った写真がこんなところに飾られているとは夢にも思うまい。

私としては、伊東晴雨と高畠華宵のそういう絵が見られたのは収穫(たぶん、オリジナルではないと思うが)。とくに伊東晴雨はさすがの出来。絵葉書が欲しいところだが無理だろうなぁ。

展示物の絵画(特に浮世絵)を見ると、『こんなに胸(or眼)が大きい娘がおったらおかしいわい』と思われる昨今のロリータマンガ(orアニメ)の『関心のあるパーツのみを強調して描く』という手法は、江戸時代の浮世絵から脈々と受け継がれてきたものだったのだなぁ、と納得。

なんとかかんとか3階までひと通り見て、出ようとしたら出口付近に県発行の無形文化財の認定証が。おおっ!愛媛県、懐が広いじゃん、と思ったら、どうも宮司さんがこのあたりに伝わるお神楽の名手らしい。よく考えればここの展示物って無形文化財じゃないよなぁ。

で、資料館を出て境内をまわるとこんな感じ。

石臼夫婦
『お前100までわしゃ99までともに白髪が生えるまで』と並ぶ名作。

でも、親戚や見ず知らずのじじぃに言われると腹が立つこと請け合い。結婚式のスピーチで『ユーモアのある気の利いたフレーズ』のつもりで新婚夫婦に言わないように。こういうのは夫婦がお互いに言い合ってにっこりしてこそ味があるんであって、にやにや笑いのおやじが他人(たとえ親戚であっても)に向かって言うものではないということをオジさんたちは肝に銘じるように。

いいか、相手が笑っているのは喜んでるわけじゃなくて、『ふざけんな、このハゲ!!』と年長者を蹴り上げるような(そしてあんたのような)無礼者じゃないだけなんだからな。そこんとこ、よ〜く覚えとけよ、馬〜鹿。

定番のオブジェ
そして、これが依代。なぜ、拝殿の外にあるのかは謎。

お土産物も各種ありましたが、とりあえずこれ。

温泉によくある手ぬぐい温泉によくある手ぬぐい
『ああ、これ熱海(or箱根、鬼怒川etc.)で見たことある』というかたもおありかと(最近は温泉街は女性客をターゲットとしているのでこれらのお土産は激減しているが)思いますが、凸凹神堂のネームに価値があるということで。

『もうちょっと、違う字を当ててもよかったのでは』とか『1960年代はそうだったかもしれないけど、今はねぇ』と思われるのもありますが、これもまぁ、ご愛嬌。

この資料館は年中無休なので、興味がある方は是非どうぞ。でも、酔った勢いで団体で行くか、学術研究的フィールドワークのつもりで行かないと、かなり辛いです。『彼女キャーキャー言わそう』ぐらいの軽い気持ちでアベックで行くと、多分喧嘩になります。キャーキャーいうのには物量が多すぎて圧倒されるんで(いや、平然とされても嫌だろうし)。

我々のあとに高校生らしきアベックと夫婦連れ(水商売の女性+馴染み客だったかも)が来たんですが、両方とも神社の境内を回っただけで資料館に入らずに黙って出て行きました。

入場料は大人800円(子供料金はありません。あたりまえ)。団体割引もあって、100人以上は一人500円とあるんですが、あの建物、100人も入ったら身動きとれないよなぁ。


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