オビワンただいま修行中

All pictures in this page were captured from a movie "A Majority of One", Warner Bros., 1961, USA, and these pictures are quoted in order only to help readers to understand my thought on difficulty of mutual understandings among different cultures. I believe that my way of quotation in this page is proper and reasonable.


"A Majority of One" というアメリカ映画(1961年制作。たぶん日本未公開)から。舞台は日本ですが、日本ロケはせずに全編アメリカで撮影したようです。主人公は娘夫婦の日本赴任にしぶしぶ同行してきた初老のアメリカ人女性です。

ーシクタ?

サンフランシスコから日本へ向かう船(!)の中で知り合った日本人男性・アサノ氏のもとを主人公が訪ねるというシーンなんですが、『タクシー』の文字の向きがヘンです。時代設定は制作当時の『現代』、つまり1960年頃なんですけど。でもって、ドアに『60円』とあるにもかかわらず、運転手は『2円です』と請求してました。当時は外国人割り引きの制度でもあったのか?

ヒカル・スールー

迷いながらもアサノ氏の自宅(かなりの豪邸)にたどり着いた主人公。出迎えたのは英語の通じない使用人でした。この使用人のお兄さん、『スタートレック』でスールーを演じていたジョージ・タケイではありませんか。びっくり。

そして、やっと再会できた日本人アサノ氏とは...

日本人オビワン

なんとアレック・ギネス、つまり『スターウォーズ』のオビワン・ケノビでした(ビデオのパッケージにもそう書いてある)。上の画像ではたまたま眩しそうな表情をしているようにも見えますけど、実は全編ずっとこんな表情です。なぜならば、アサノ氏は日本人だからです。目はいつも半眼で、口元にはアルカイックスマイルを絶やしません。これぞ東洋の神秘、禅の国の住民です。ジェダイ騎士団のルーツここにあり。アレック・ギネスが最初に登場した船の上のシーンではスーツ姿だったので日本人役だとは判らず、『目が見えない人の役なんだろうか』と思ってました。

このアサノ氏、お客さんである主人公に対しては非常に紳士的でにこやかに接するのに、なぜか娘さん達や使用人に対しては、いきなり仏頂面になって、恐ろしく早口の日本語(しかも言い方がきつい。ついでになまりもきつい)で命令します。アサノ氏が部屋を出ようとすると、側に控えていた娘さんが先回りして襖を開けます。着替える時は、仁王立ちのアサノ氏に数人がむらがって、脱がせたり着せたりします(ほとんど戦国武将の出陣準備)。ニッポンは男尊女卑の封建国家です。

で、主人公はむりやり振り袖を着せられて(そろそろ孫ができようかというトシなのに)、日本食と日本酒をご馳走になるんですが、食事の前のおしぼりが傑作でした。こちら(『日本の歩き方』の『その40:おしぼり実践編』)をどうぞ。

でも、この映画は非常にまともです。日本家屋やその他の日本文化の描写は、詰めが甘い点は目につきますが(公道の道端に石灯籠があったり、日本庭園の石橋が草むしていたり)だいたい正確で、制作年代(『007は二度死ぬ』より何年も前)を考えれば、とても良く作ってある方だと思います。


[追記1]
ジョージ・タケイが自伝の中でこの映画の撮影のことを書いているのを発見しました。
『日本の歩き方』の『その42:アサノ氏の真実』
をどうぞ。

[追記2]
アサノ氏が喋る日本語(らしきもの)の音声を追加しました。
『日本の歩き方』の『その54:アサノ氏は…喋る』
『日本の歩き方』の『その56:アサノ氏は…笑う』
をどうぞ。


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