日々是口実 2003年盛夏
フィンランド旅行編 第6日

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某月某日
この日は何も予定なし。『しょーがねーから船に乗って、砦跡(やっぱり世界遺産)にでも行ってみるか?』とホテルを出たのは9時過ぎ、他のお客さんはほとんど出払っています。

タラタラ歩きながら港に向かっていたら、なんか聞き覚えのあるバラライカの音色が。『わーっ、もしかして〜』と元老院広場に走っていくと、なんと翌日のグローバル・バラライカ―・ショーのリハーサル中。それも赤軍合唱団のパートの練習真っ最中(後でネット配信されたライブの模様を見たら、赤軍合唱団がメインのパートは、まさにこのリハーサルしているパートのみだったのだ)。もう、世界遺産なんてポイして、今日はグローバル・バラライカ・ショーのリハーサル見学だぁ。

しかし、ステージは日よけのためか、通りすがりの人間に見せないためか、黒い紗幕がかかって中が見えない。ルーベンスの絵の前でじたばたするネロとパトラッシュのように、カメラを持ったまま走り回る夫と私。
僅かに開いたステージ右隅の隙間から覗くと、ステージ左にひな壇があって、そこに座っているのが赤軍合唱団のようにも見えるが、ちょっとよくわかりません。

と、そのとき始まったのが、10年前のトータル・バラライカ・ショーのDVDにも収められている名曲、『悲しき天使』。ロシア民謡からとったメロディー(ただし歌詞は英語)に、赤軍合唱団のおじさま達の太いコーラスが重なる。月光がルーべンスの絵を照らし出した瞬間のネロのように涙を流し、ひざまずかんばかりの夫(マジ)。

そうだよなぁ、生レッド・アーミー・オーケストラだもんなぁ、それもかぶりつき。でも、トータル・バラライカ・ショーの時の1/3ぐらいだなぁ、人数。それに、10年前はおっさんばかりだったのに、今やお嬢さんが混ざってるぞ。うーん、ソ連崩壊から10年余り、やっぱりしょうがないのか〜。それでもやっぱり迫力あります、赤軍合唱団。曲が終わると夫、泣きながら大拍手です。

赤軍合唱団はこの一曲で終わり。その次にリハーサルしたカリビアン歌手のおねぇさんもなかなかの迫力でした。でも、『ワールド』色は強まっているけど、『バラライカ』色は薄まっているような...

再び赤軍合唱団をフィーチャーした曲を練習してくれないかと待ちつつ、『ここから向こうは入っちゃダメ』と貼られていたテープが風で飛ばされたのをいいことに、ステージのすぐ前まで行って隙間から中を窺がう。

 

 

立って演奏しているのは多分、レニングラード・カウボーイズのかた。でもリーゼントじゃないし、サングラスかけてないんで、誰だかわかりません。というか私『レニングラード・カウボーイズのためにフィンランドに〜!!』とか言ってたくせに本当のファンじゃないことが判明。固体識別が出来ない!!

モー娘が好きとか言っているのに加護亜衣と安倍なつみの区別がつかないようなもんじゃん...

なので、写真に写っているのが、レニングラード・カウボーイズのメンバーなのか、コンサートスタッフなのか判りません。まさに宝の持ち腐れ。

で、まもなく休憩に。

 
赤軍合唱団関係者らしきロシア顔のおじ様、お嬢様もちらほら。

でも、でも、どのかたも洗練されていて、10年前の赤軍合唱団のおじ様がたのような、ほのぼのとしたかたは一人も見かけられません。なぜ〜!!

まだ設営途中の会場。

観光客や、通りすがりの人たちが好き勝手にうろうろしていました。なんせここはヘルシンキ最大の観光スポットのひとつ、ヘルシンキ大聖堂の前。

え〜、2日目に買ったこのトータル・バラライカ・ショーのCDのジャケットにもなってます。この階段でこんな感じで写真とるつもりだったんですが、見てのとおり会場が設営中で階段のこの辺りには櫓が組んであって立てないわ、観光客だらけだわで、断念。ちっ。
CDではくすんだ感じですが晴天下で撮ると、こんな感じです(いや、最近化粧直しされたのかもしれませんが。なんせ十年前の写真だし、あのジャケット)。この建物内部は教会になってます。
 
観光客やら、その他大勢、のんびりと階段に座って会場設営作業を眺めています。
 
でもって、これが会場設営の告知です。グローバル・バラライカ・ショーのために工事すっからね、と。

わ〜ん、この日、この時間、私は飛行機の中だよぅ。

上側の紙にある、この赤軍合唱団のおじさまとレニングラード・カウボーイズのエンブレム(というか、トレードマーク?)のグッズ欲しいよう〜。でもまだ設営が完了していないからショップらしきものも見当たらないよぅ。しくしく。

リハーサルはなかなか再開しないし、しゃ〜ね〜から、CDショップへ行ってまたCDでも買うかね。2日目はレニングラード・カウボーイズだけのは見つからなかったから探してみるか。

 
あった。でも、ほとんど『2枚でいくら』の世界。もうそんなバンドなのかなぁ。タリン行きのフェリーで会った少年も『レニングラード・カウボーイズ? え〜っと、それ、ロックバンドだよねぇ。確か?』という感じだったしなぁ...

それにここまで私が行った範囲のCDショップでは、どこもここ7〜8年の新作CD(もうすでに新作とはいえないが)は置いてなかったしなぁ... アマゾンでも手に入らんし...

ところが、DVD売り場で最近リリースされたらしきDVDを発見(平積みというか壁掛けというか、目立つところに置いてあった)。

おおっ! トータル・バラライカ・ショーの他にも、レニングラード・カウボーイズのクリップ集入り!! 欲しい!!

でも、夫に『ヨーロッパはリージョンコードは同じだけど、ビデオ再生の方式が違うから再生出来ないよ〜ん。まっ、秋葉原でリージョンフリーのDVDプレイヤーとヨーロッパ方式のテレビを買えば再生出来るけどね』と、うきうきと告げられる(夫は前からこのセットが欲しくてたまらなかったのだ)。

んじゃやめるか(DVD1枚にその投資はできない)、と棚に戻したら、『まぁ、飾りになってもいいから、記念に買っときなよ』と薦められる。『いざとなったらフィンランド大使館に行ってダビングさせてもらうかぁ』などと日本では考えつかないようなことを思いつく(旅先での解放感でこういう方面に大胆になってもなぁ)。まぁ、オブジェでもいいや、旅の記念に買っとくかね、と購入。

別のCDショップではMTV(え〜音楽専門チャンネルの方じゃなくて、フィンランドの地元放送局のひとつ)版の『トータル・バラライカ・ショー』のVHSテープを発見。こちらはアキ・カウリスマキ版と違って、全曲入っている模様。でも、DVDはもしかしたら将来、欲しい別リージョンのソフトが一杯出て、リージョンフリーのデッキを買うことになるかも知れないけど、ビデオテープに未来はないから、ヨーロッパ方式のビデオデッキやテレビを買うことは絶対ないなぁ、ということで買いませんでした。

その代わりというか、目にとまったCDを買う。名前からするとフィンランドのバンドのようだ。

う〜ん、これ日本で見たことあるような気がするなぁ、VOWかなぁ、どこかのCDショップかなぁ。

中身は普通のロック。日本テイストも日本語のひとかけらもなし。もしかしてSUMOとSUOMI(フィンランド人は自分の国をこう呼ぶ)が似てるから親近感でも持ったのかなぁ? でも、『大相撲』はいいとして、『準優勝 天覧相撲』という単語が何故採用されたかは謎。

で、このレニングラード・カウボーイズのDVD、帰国してから念のためにとDVDデッキにかけてみたら、音は出るがやっぱり画像は縞々になって観れない。しばらく飾っておいたところ、ある日アマゾンを見ていたら、とあるヨーロッパ版DVD(レニングラード・カウボーイズものではなかった)の評価欄で、それを買った日本人のかたが『我が家のPCでは再生できました』と書いてらっしゃるのを見て、試しに私のパソコンで再生すると、なんと見れるではないか!!

おおっ、『レニングラード』名曲かつ名クリップだなぁ、歌詞が今ひとつわかんないけど、なんとなく、『サンクトペテルブルグなんていうヘンな名前に変えられちゃったよお、僕の”レニングラード”を返せよぉ』と言っているような気がする。

やっぱり最近2、3作のアルバム欲しいなぁ。というか昔の曲より今の曲のほうが好きだなぁ。オマケの『レニングラード・カウボーイズ大いに語る』(勝手に命名)では、インタビューに答えているうちの一人が、多分わざとロシア訛りの英語で喋っているのが愉快。もうひとつ、『赤軍合唱団とカウボーイズの旅』(これも勝手に命名)は必見です。ああっ、お茶目なイーゴリーがぁ〜、踊るイワンがぁ〜(ダンサーではなくボーカルのおっちゃんが踊るのだ!!)、(カンヌ映画祭に行ったようです彼ら)カメラを構えるイワノフがぁ〜(いずれも名前はこちらで勝手に命名)、そして、レニングラード・カウボーイズとの共演を重ねる(2、3回一緒にコンサートをした模様)ごとに、表情の硬さが取れて人数が減っていく赤軍合唱団の皆さまがぁ〜

レニングラード・カウボーイズ、その髪型から『氣志團みたい』とよく言われているようですが(夫もそういう)、やっぱ、米米CLUBだよなぁ。ダンサーのお嬢さんも2人ちゃんといる(DVDでは『レニングラード・レディズ』と名乗っていた)し。

(つづく)
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